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断面係数の求め方は?H型鋼やアングルの計算方法を徹底解説!【鋼材】

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建築や土木の構造設計において、断面係数は部材の強度を評価する上で欠かせない重要な指標です。特にH型鋼やアングルなどの鋼材を使用する際には、断面係数を正確に計算できることが求められます。

断面係数は、部材が曲げモーメントに対してどれだけ抵抗できるかを示す値であり、構造物の安全性を確保するための基本的なパラメータとなっています。設計者や施工管理者にとって、この概念を理解し、適切に計算できることは必須のスキルと言えるでしょう。

本記事では、断面係数の基本的な定義から、H型鋼やアングルといった代表的な鋼材の断面係数の求め方まで、詳しく解説していきます。公式の導出過程や実際の計算例も交えながら説明しますので、初めて学ぶ方でも理解しやすい内容になっています。構造計算に携わる方はもちろん、これから学ぼうとしている方にも役立つ情報が満載です。

断面係数とは何か?基本的な定義と重要性

それではまず、断面係数の基本的な定義と、なぜこの値が重要なのかについて解説していきます。

断面係数は構造力学において中心的な役割を果たす概念です。部材が曲げ応力に対してどの程度耐えられるかを数値化したものであり、記号ではZ(またはS)で表されることが一般的でしょう。

断面係数の定義と物理的意味

断面係数とは、断面二次モーメント(慣性モーメント)を図心から最も遠い縁までの距離で割った値として定義されます。数式で表すと次のようになります。

断面係数 Z = I / y

I:断面二次モーメント(mm⁴)

y:中立軸から最外縁までの距離(mm)

Z:断面係数(mm³)

この式が示すのは、断面がどれだけ効率的に曲げモーメントに抵抗できるかということです。断面係数が大きいほど、同じ曲げモーメントを受けても発生する応力が小さくなり、部材の強度が高いことを意味します。

物理的には、断面の形状と寸法によって決まる値であり、材質には依存しません。つまり、鋼材でもアルミニウムでも、同じ形状であれば断面係数は同じになるわけです。

曲げ応力との関係

断面係数が実際の設計でどのように使われるかを理解するには、曲げ応力との関係を知る必要があります。

曲げ応力σは、曲げモーメントMを断面係数Zで割ることで求められます。

曲げ応力 σ = M / Z

M:曲げモーメント(N・mm)

Z:断面係数(mm³)

σ:曲げ応力(N/mm²)

この式から分かるように、断面係数が大きければ大きいほど、同じ曲げモーメントでも発生する応力は小さくなります。つまり、断面係数の大きい部材を選ぶことで、より安全な構造を実現できるということです。

実務では、許容応力以下に収まるように断面係数を選定することが基本となります。この計算は構造設計の最も重要な作業の一つでしょう。

断面係数が大きいほど有利な理由

なぜ断面係数が大きい部材が構造的に有利なのか、もう少し詳しく見ていきましょう。

同じ材料を使う場合、断面係数を大きくするには断面二次モーメントを大きくするか、中立軸から縁までの距離を小さくする必要があります。実際には、材料を中立軸から遠い位置に配置することで断面二次モーメントを効率的に増やすことができます。

H型鋼が梁として優れているのは、まさにこの原理によるものです。フランジ(上下の平板部分)が中立軸から離れた位置にあるため、少ない材料で大きな断面係数を得られるわけです。

形状 特徴 効率性
H型鋼 フランジが中立軸から遠い 非常に高い
I型鋼 H型鋼に類似 高い
角形鋼管 4方向に材料配置 高い
丸棒 材料が中心に集中 低い

このように、断面係数の概念を理解することで、なぜ特定の形状が構造材として選ばれるのかが分かってくるでしょう。

H型鋼の断面係数の求め方と計算手順

続いては、実務で最もよく使われるH型鋼の断面係数の求め方を確認していきます。

H型鋼は建築構造物の梁や柱として広く使用されている形材です。その断面係数を正確に計算できることは、構造設計者にとって基本的なスキルとなります。ここでは計算の手順を段階的に説明していきましょう。

H型鋼の断面特性と寸法の定義

H型鋼の断面係数を求める前に、まず各部の名称と寸法の定義を理解する必要があります。

H型鋼は以下の要素で構成されています。フランジと呼ばれる上下の水平部分、ウェブと呼ばれる中央の垂直部分、そしてこれらを接合する部分です。

主要な寸法記号は次の通りです。

記号 名称 説明
H 全高 上下フランジ外面間の距離
B フランジ幅 フランジの横方向の幅
t₁ ウェブ厚 中央垂直部分の板厚
t₂ フランジ厚 上下水平部分の板厚

これらの寸法を使って、断面二次モーメントと断面係数を計算していくわけです。実際の規格品では、これらの寸法が標準化されており、カタログに記載されています。

H型鋼の断面係数の計算公式

H型鋼の断面係数を求める基本的な公式を見ていきましょう。強軸(x軸)まわりの断面係数は次のように計算されます。

Zx = Ix / (H/2)

Ix = (B × H³ – (B – t₁) × (H – 2t₂)³) / 12

したがって、

Zx = (B × H³ – (B – t₁) × (H – 2t₂)³) / (6H)

この公式は、H型鋼全体の断面二次モーメントから、ウェブとフランジで囲まれた空間部分を引くという考え方に基づいています。

弱軸(y軸)まわりの断面係数も同様に計算できます。

Zy = Iy / (B/2)

Iy = (2 × t₂ × B³ + (H – 2t₂) × t₁³) / 12

実務では、強軸まわりの断面係数の方が弱軸まわりよりもはるかに大きく、梁として使用する際には強軸まわりの値を使用することが一般的です。

H型鋼の断面係数計算の具体例

実際の数値を使って計算してみましょう。H-200×100×5.5×8という規格のH型鋼を例にとります。

【与えられた寸法】

H = 200mm(全高)

B = 100mm(フランジ幅)

t₁ = 5.5mm(ウェブ厚)

t₂ = 8mm(フランジ厚)

まず断面二次モーメントIxを計算します。

Ix = (100 × 200³ – (100 – 5.5) × (200 – 2×8)³) / 12

= (100 × 8,000,000 – 94.5 × 184³) / 12

= (800,000,000 – 94.5 × 6,229,504) / 12

= (800,000,000 – 588,688,128) / 12

= 211,311,872 / 12

= 17,609,323 mm⁴

次に断面係数Zxを計算します。

Zx = Ix / (H/2)

= 17,609,323 / (200/2)

= 17,609,323 / 100

= 176,093 mm³

≒ 1.76 × 10⁵ mm³

このように、段階を追って計算することで正確な値が得られます。実務では規格表に記載された値を使用することが多いですが、計算の原理を理解しておくことは重要でしょう。

アングル(山形鋼)の断面係数の求め方

続いては、アングルとも呼ばれる山形鋼の断面係数の求め方を確認していきます。

山形鋼はL字型の断面を持つ鋼材で、軽量な構造材や補強材として幅広く使用されています。H型鋼とは異なる特徴を持つため、断面係数の計算方法も少し複雑になります。

等辺山形鋼と不等辺山形鋼の違い

山形鋼には大きく分けて2つのタイプがあります。等辺山形鋼と不等辺山形鋼です。

等辺山形鋼は、L字の両辺が同じ長さの形状です。例えばL-50×50×6のように表記され、両辺が50mm、板厚が6mmという意味になります。対称性が高いため、計算が比較的シンプルでしょう。

一方、不等辺山形鋼は両辺の長さが異なります。L-75×50×6のように表記され、長辺75mm、短辺50mm、板厚6mmという意味です。こちらは図心位置の計算が複雑になります。

種類 特徴 用途例
等辺山形鋼 両辺の長さが等しい 鉄塔、トラス構造
不等辺山形鋼 両辺の長さが異なる 補強材、縁材

どちらのタイプでも、断面係数を求めるには、まず図心位置を特定する必要があります。これがアングル計算の最初のステップとなるでしょう。

等辺山形鋼の断面係数計算

まずは計算が比較的単純な等辺山形鋼から見ていきましょう。等辺山形鋼L-a×a×tの場合、断面係数は次のように求められます。

図心から縁までの距離は、対称性から計算できます。等辺山形鋼の場合、図心は角から約0.3×aの位置にあることが知られています。

【等辺山形鋼 L-60×60×6の例】

a = 60mm(辺の長さ)

t = 6mm(板厚)

断面積 A = 2at – t² = 2×60×6 – 6² = 720 – 36 = 684 mm²

図心距離 x̄ ≒ 0.3a = 0.3×60 = 18mm

主軸まわりの断面二次モーメントと断面係数は、規格表に記載されている値を使用することが一般的です。理論計算は複雑になるため、実務では規格値を参照する方が効率的でしょう。

ただし、基本的な考え方として、断面を2つの長方形に分解して計算し、平行軸の定理を使って主軸まわりの値を求めるという手順を理解しておくことは重要です。

不等辺山形鋼の断面係数と注意点

不等辺山形鋼の場合、計算はさらに複雑になります。図心位置が対称軸上にないため、x軸とy軸それぞれについて図心距離を計算する必要があるのです。

不等辺山形鋼L-a×b×t(a>b)の図心位置は次のように求められます。

x̄ = (at² + b²t – bt²) / (2at – t²)

ȳ = (bt² + a²t – at²) / (2at – t²)

これらの値を使って断面二次モーメントを計算し、さらに断面係数を求めることになります。計算が煩雑なため、実務では必ず規格表の値を使用しましょう。

また、不等辺山形鋼を使用する際の注意点として、荷重方向と主軸の関係を正しく理解することが挙げられます。長辺と短辺のどちらが荷重を受けるかによって、使用すべき断面係数が変わってくるためです。

その他の鋼材の断面係数と実務での活用

続いては、H型鋼やアングル以外の鋼材についても確認していきます。

構造設計では様々な形状の鋼材が使用されます。それぞれの特性を理解し、適切に断面係数を求められることが、安全な構造物を設計する上で不可欠でしょう。

チャンネル鋼(溝形鋼)の断面係数

チャンネル鋼はC字型またはU字型の断面を持つ鋼材です。記号では[(角括弧)を使って表記されることが多く、[-100×50×5×7.5のように示されます。

チャンネル鋼の特徴は、片側にしかフランジがないため、断面の図心が形状の中心からずれることです。このずれ(偏心)を考慮して設計する必要があります。

【チャンネル鋼の主要寸法】

H:全高

B:フランジ幅

t₁:ウェブ厚

t₂:フランジ厚

e:図心の偏心距離

断面係数の計算は、H型鋼と同様の考え方で行いますが、偏心を考慮する点が異なります。実務では規格表に記載された値を使用し、偏心による影響を設計に反映させることが重要です。

角形鋼管と円形鋼管の断面係数

鋼管も構造材として広く使用されています。特に柱材として優れた性能を発揮するでしょう。

角形鋼管(□-100×100×4.5のように表記)の断面係数は、外側の正方形から内側の正方形を引いた中空断面として計算します。

角形鋼管の断面係数(正方形の場合)

Z = (B⁴ – b⁴) / (6B)

B:外寸、b:内寸(B – 2t)、t:板厚

円形鋼管の場合は、円環の断面係数公式を使用します。

円形鋼管の断面係数

Z = π(D⁴ – d⁴) / (32D)

D:外径、d:内径(D – 2t)、t:板厚

鋼管は中空構造のため、同じ断面積でも大きな断面係数が得られるという利点があります。材料を効率的に使用できるため、経済的な設計が可能となるわけです。

実務における断面係数の活用と規格表の使い方

実際の構造設計では、毎回手計算で断面係数を求めることは稀です。JIS規格や鋼材メーカーが提供する規格表に、各寸法の鋼材の断面性能が詳細に記載されているためです。

規格表には通常、以下の情報が含まれています。

項目 記号 用途
断面積 A 軸力の計算
断面二次モーメント I たわみの計算
断面係数 Z 曲げ応力の計算
断面二次半径 i 座屈の計算
単位質量 W 重量の計算

設計の基本的な流れとしては、まず必要な断面係数を算出し、その値以上の断面係数を持つ鋼材を規格表から選定します。その後、たわみや座屈などの検討も行い、最終的な部材を決定するという手順になります。

ただし、規格にない特殊な断面を使用する場合や、溶接による組立材を設計する場合には、基本に立ち返って断面係数を計算する必要があるでしょう。そのため、計算原理の理解は実務者にとって不可欠なのです。

まとめ

断面係数は構造設計における最も基本的で重要な指標の一つです。本記事では、その定義から各種鋼材の計算方法まで、幅広く解説してきました。

断面係数は「断面二次モーメント÷中立軸から最外縁までの距離」で定義され、部材の曲げ抵抗性能を表す値でしたね。この値が大きいほど、同じ曲げモーメントに対して発生する応力が小さくなり、構造的に有利になります。

H型鋼の断面係数は、全体の断面から中空部分を引くという考え方で計算できます。実際の計算では寸法を正確に把握し、公式に当てはめていくことが重要でしょう。アングルの場合は、まず図心位置を求める必要があり、特に不等辺山形鋼では計算が複雑になります。

実務では規格表の値を使用することが一般的ですが、特殊な断面や組立材の設計では自ら計算する必要があります。そのため、計算の原理を理解しておくことは、構造設計者として必須のスキルと言えるでしょう。

チャンネル鋼や鋼管など、他の形状についても基本的な考え方は同じです。それぞれの形状特性を理解し、適切に断面係数を求められるようになることで、より安全で経済的な構造設計が可能になります。

断面係数の計算は、構造力学の基礎であると同時に、実務で直接使える実践的な知識でもあります。本記事で紹介した内容を参考に、ぜひ実際の計算にも挑戦してみてください。繰り返し計算することで、確実に理解が深まっていくはずです。