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射出成形の不良一覧と対策方法!主要な成形不良の原因と解決策を解説

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射出成形では様々な種類の成形不良が発生する可能性があり、それぞれの不良には特有の原因と対策があります。

ヒケ・バリ・ショートショット・ウェルドライン・フローマーク・気泡(ボイド)・反り・シルバーストリークなど、成形不良の種類は多岐にわたります。

これらの不良を正確に識別し、適切な対策を迅速に実施できる能力は、成形技術者として非常に重要なスキルです。

本記事では、射出成形の主要な成形不良の種類・発生原因・対策方法を体系的に一覧として整理し、詳しく解説していきます。

射出成形の成形不良一覧:主要な不良の種類と発生原因

それではまず、射出成形の主要な成形不良とその発生原因を一覧で確認していきます。

不良名 現象 主な原因
ヒケ(Sink Mark) 表面がくぼむ 保圧不足・肉厚過大・冷却不均一
バリ(Flash) 型合わせ面に薄膜が出る 型締力不足・過充填・金型摩耗
ショートショット 樹脂が充填されない部分が残る 射出圧不足・樹脂温度低・ガス逃げ不良
ウェルドライン 流れが合流した線状の跡 複数ゲート・複雑形状・樹脂温度低
フローマーク 流れ方向の縞模様 低射出速度・樹脂冷却・ゲート形状
シルバーストリーク 銀色の筋が走る 樹脂の水分・揮発分・分解ガス
反り(Warpage) 製品が変形・曲がる 冷却不均一・残留応力・収縮差
ボイド(Void) 内部に気泡が発生する 保圧不足・厚肉設計・収縮過大
ガス焼け(Burn Mark) 末端部が茶色・黒く焦げる ガス圧縮発熱・通気不良
剥離(Delamination) 表面が層状に剥がれる 異種材料混入・水分・相溶性不良

これらの不良はそれぞれ独立した原因を持つ場合もありますが、複数の原因が複合して発生することも多く、原因の特定には系統的なアプローチが必要です。

バリ(Flash)の原因と対策

バリとは金型の合わせ面・分割面・エジェクターピン穴などから薄い樹脂のはみ出しが発生する不良です。

主な原因は型締力の不足、射出圧力・保圧の過剰、金型の合わせ面の摩耗・変形、型内圧力が型締力を上回る場合などです。

バリの主な対策

・型締力の増加(より大型の成形機の選定)

・射出速度・射出圧力・保圧の低減

・金型のパーティングライン面の研磨・修正

・ゲートサイズの縮小(充填速度の低減)

・樹脂温度の低下(溶融粘度の増加)

バリが発生すると後加工(バリ取り)のコストが増大するため、成形条件の最適化と金型の定期メンテナンスが重要です。

ショートショットの原因と対策

ショートショット(short shot)は溶融樹脂が金型キャビティの末端まで充填されず、製品に欠肉部分が生じる不良です。

主な原因は射出圧力・速度の不足、樹脂温度が低く流動性が悪い、ゲートサイズが小さすぎる、金型の通気(ベント)が不良などです。

対策としては射出圧力・速度の増加、樹脂温度の上昇、ゲートの拡大、金型ベントの追加・清掃などが有効です。

薄肉・細長い形状はショートショットが発生しやすいため、設計段階から流動経路長(L/T比:流動長/肉厚)を考慮することが重要です。

ウェルドライン・フローマーク・シルバーストリーク

続いては、外観品質に関わる重要な成形不良の原因と対策を確認していきます。

ウェルドラインの原因と対策

ウェルドライン(weld line)とは、複数の流れが合流した部分に線状に現れる不良であり、外観不良だけでなく強度低下の原因にもなります。

ホールや窓部を持つ製品では樹脂がホールを迂回して再合流する際に発生し、複数ゲート設計でも合流部に発生します。

対策としては、樹脂温度・型温度を高めて合流部での樹脂の接合性を向上させること、ゲート位置を変更してウェルドラインを非外観面・低応力部に移動させることが有効です。

シルバーストリークの原因と対策

シルバーストリーク(silver streak)は製品表面に銀色の筋(条痕)が走る不良であり、外観を著しく損ないます。

主な原因は樹脂ペレットの水分・揮発分の混入、樹脂の過熱分解によるガス発生、スクリュー・シリンダーの劣化による分解ガスの発生などです。

対策としては原料の十分な乾燥(PPは80℃×4時間以上、ナイロンは80℃×8時間以上など)・樹脂温度の適正化・射出速度の低下などが有効です。

反り(Warpage)の原因と対策

反りは製品が冷却後に変形・湾曲する不良であり、寸法精度・組立性に影響します。

主な原因は冷却の不均一による温度差・収縮差、繊維入り樹脂での配向収縮差、残留応力の不均一分布などです。

対策としては冷却回路の均一化・アニーリング処理・ゲート位置と樹脂配向の最適化・保圧条件の見直しが有効です。

ガス焼け・ボイド・剥離:その他の重要な不良

続いては、その他の重要な成形不良の原因と対策を確認していきます。

ガス焼け(バーンマーク)の原因と対策

ガス焼けは製品の充填末端部・コーナー部に茶色・黒色の焦げが発生する不良です。

原因は金型末端部にトラップされた空気が射出時の高圧縮によって断熱圧縮発熱し、樹脂を焦がすためです(ディーゼル効果)。

対策としては金型末端部へのベント(通気溝)の追加・清掃、射出速度の低下、ゲート・ランナーの設計変更が有効です。

剥離(デラミネーション)の原因と対策

剥離は製品表面が層状に剥がれる不良であり、外観不良・強度低下の原因になります。

主な原因は異種材料の混入(リサイクル材・グレード違いの混入)、材料の水分、相溶性の悪い材料の混合などです。

材料管理の徹底・原料の乾燥・成形機・スクリューのパージ(洗浄)が最も有効な対策です。

まとめ

本記事では、射出成形の主要な成形不良について不良の種類・発生メカニズム・対策方法を体系的に解説してきました。

ヒケ・バリ・ショートショット・ウェルドライン・シルバーストリーク・反り・ガス焼け・剥離など多様な不良はそれぞれ固有の原因を持ち、適切な対策が異なります。

不良の原因特定には「成形条件・金型・材料」の三つの観点から系統的にアプローチすることが効率的です。

成形不良の一覧と対策を把握しておくことで、現場での迅速なトラブルシューティングと品質改善に大きく役立ちます。

成形不良の知識を体系的に身につけ、射出成形の品質管理・改善活動に積極的に役立ててみてください。