bringは中学英語で最初に触れる基本動詞の一つですが、単に「持ってくる」と覚えるだけでは、会話やビジネスメールで迷いやすい単語です。
物を運ぶ場面のほか、人を連れてくる、変化を引き起こす、話題を持ち出す、記憶をよみがえらせるといった幅広い意味を持ちます。
さらにbring about、bring up、bring backなどの句動詞では、前置詞や副詞によって意味が大きく変わります。
この記事ではbringの核となるイメージから、発音、例文、ビジネスでの自然な使い方、スラング的な表現、言い換えまでを整理します。
bringの意味と基本イメージ

それではまずbringの基本的な意味と使い分けについて解説していきます。
話し手や目的地へ向かう移動
bringの中心にあるイメージは、何かをこちら側や特定の場所へ運ぶことです。
「持ってくる」と訳されることが多いものの、重要なのは物の移動だけではありません。
話し手のいる場所、会議室、イベント会場、相手が待つ場所など、到着地点に焦点があります。
たとえばPlease bring your laptop to the meeting.は「会議にノートパソコンを持ってきてください」という意味です。
この文では、パソコンを持つ行為よりも、会議という場へパソコンを到着させることが伝わります。
Bring your ID with you.
身分証明書を持参してください。
Bring the documents to my office.
その書類を私のオフィスへ持ってきてください。
人を目的地へ連れてくる場合にもbringを使えます。
She brought her colleague to the presentation.は「彼女は同僚をプレゼンテーションに連れてきた」という内容です。
物にも人にも使える柔軟さが、bringの大きな特徴でしょう。
takeとの違い
bringとtakeは混同しやすい組み合わせです。
bringは話し手や聞き手、あるいは話題の中心地点へ近づく方向を表し、takeはそこから離れる方向を表すのが基本です。
| 動詞 | 中心となる方向 | 例文 | 意味 |
|---|---|---|---|
| bring | こちらへ向かう | Bring the file here. | そのファイルをここへ持ってきてください。 |
| take | あちらへ向かう | Take the file to her desk. | そのファイルを彼女の机へ持っていってください。 |
| bring | 会議や場所へ集める | Bring your ideas to the session. | 会議にアイデアを持ち寄ってください。 |
| take | 別の場所へ運ぶ | Take these samples to the lab. | これらの試料を研究室へ運んでください。 |
ただし、話し手の視点は会話の状況によって変化します。
明日あなたの会社へ行く人が「資料を持っていく」と言う場合、相手の会社を到着地点として捉えればI will bring the materials tomorrow.も自然です。
誰の視点で目的地を見ているかを意識すると、bringとtakeの選択が安定します。
結果や影響をもたらす用法
bringは目に見える物だけでなく、結果、利益、変化、機会、問題などを「もたらす」という意味でも使われます。
This update will bring significant improvements.は「この更新は大幅な改善をもたらすでしょう」と訳せます。
ビジネスではbring value、bring benefits、bring resultsのような組み合わせがよく見られます。
この用法では、何かが移動するというより、ある出来事によって新しい状態が到来する感覚です。
bringには「運ぶ」という具体的な意味と、「結果をもたらす」という抽象的な意味があります。
前後の名詞が物、人、変化、利益のどれに当たるかを見ると、自然な日本語訳を選びやすくなります。
bringの読み方と活用形
続いてはbringの発音と文法上の形を確認していきます。
カタカナによる発音の目安
bringの発音記号は一般にbrɪŋです。
カタカナではブリングと表せますが、日本語の「ブリング」を一音ずつ強く発音すると英語らしさが弱まります。
最初のbrは、唇を丸めるbからすぐに舌を少し巻くrへ移すイメージです。
母音のiは「イー」ではなく、短く軽い「イ」に近づけます。
最後のngは「ング」と母音を足すより、鼻に響かせて止めると自然です。
発音の感覚としては「ブリング」よりも、「ブリン」と短く切る印象に近いでしょう。
不規則動詞としての変化
bringは不規則動詞であり、過去形と過去分詞形がbroughtに変化します。
| 文法上の形 | スペル | 発音の目安 | 例 |
|---|---|---|---|
| 原形 | bring | ブリング | I bring my notebook. |
| 三人称単数現在 | brings | ブリングズ | She brings useful data. |
| 現在分詞 | bringing | ブリンギング | He is bringing lunch. |
| 過去形 | brought | ブロート | They brought samples. |
| 過去分詞 | brought | ブロート | We have brought updates. |
broughtのつづりは一見覚えにくいですが、buyの過去形boughtと似た音の変化をします。
I brought the contract yesterday.であれば「昨日、その契約書を持ってきました」となります。
have broughtは現在完了であり、「すでに持ってきた」「これまでにもたらしてきた」という文脈で使われます。
目的語の置き方
bringは目的語を取る他動詞です。
bring a bag、bring a guest、bring good newsのように、何を連れてくるか、何をもたらすかを後ろに置きます。
人に物を持ってくる場合はbring 人 物とbring 物 to 人の両方が使えます。
Please bring me a copy.
私にコピーを一部持ってきてください。
Please bring a copy to me.
私のところへコピーを一部持ってきてください。
前者は人を先に置く自然な語順で、後者は物をやや強調したいときにも役立ちます。
ただしbring to doのように、直後へ不定詞を置く形は基本の用法ではありません。
bringの後ろには名詞を置くという土台を押さえておくと、文を組み立てやすくなります。
bringを使った例文と日常会話
続いてはbringが日常会話でどのように使われるかを確認していきます。
持参や持ち込みを伝える例文
日常で最も使いやすいのは、持ち物の準備を頼んだり、自分の持参品を伝えたりする場面です。
Can you bring an umbrella?は「傘を持ってきてもらえますか」という意味になります。
雨が降る場所へ向かう途中でも、待ち合わせ場所へ傘を持参してほしい場合でも使える表現です。
Do not forget to bring your ticket.は「チケットを忘れずに持ってきてください」です。
イベント、旅行、試験など、必要品を案内する文として便利でしょう。
I will bring some snacks.は「お菓子を少し持っていきます」と言いたいときの定番表現です。
相手のいる集まりを目的地にしているため、英語ではbringが自然になります。
人を連れてくる例文
友人、家族、子ども、同僚などを同行させる場合にもbringを使います。
Can I bring a friend?は「友人を連れてきてもよいですか」という短く自然な質問です。
Please bring your children if you would like to.は「よろしければお子さんもお連れください」という、やわらかな招待表現になります。
Who did you bring to the party?は「パーティーには誰を連れてきたのですか」です。
人物を目的語に取るので、takeとの方向の違いが分かりやすく現れる部分です。
招待の文脈ではbringを使うと、相手や同行者を歓迎する印象を伝えられます。
ただし、参加人数に制限がある場ではPlease do not bring additional guests.のように明確に伝える必要があります。
感情や話題に関する例文
bringは感情を生じさせる表現にもよく登場します。
That song brings back happy memories.は「その歌を聞くと幸せな思い出がよみがえります」という意味です。
The news brought me relief.は「その知らせは私に安心をもたらしました」と訳せます。
また、What brings you here?は直訳すると「何があなたをここへ連れてきたのですか」ですが、自然な会話では「今日はどうしてここに来たのですか」という意味になります。
このような表現では、物理的な移動ではなく、理由や出来事によって人がその場所に至ったことを表します。
bringが生み出す変化や到来に目を向けると、抽象的な例文も理解しやすくなります。
bringを使うビジネス英語
続いてはbringをビジネスで使う際の表現を確認していきます。
会議と資料に関する表現
会議では資料、数値、意見、質問などをbringと組み合わせられます。
Please bring the latest sales figures to the meeting.は「最新の売上数値を会議にお持ちください」という依頼です。
Let us bring this issue to the next meeting.なら「この問題を次回会議で取り上げましょう」という意味になります。
このbring A to Bの形は、議題や情報を正式な検討の場へ持ち込むニュアンスを持ちます。
I would like to bring a few points to your attention.は「いくつかご留意いただきたい点がございます」という丁寧な言い回しです。
注意を向けてほしい事項を伝えるメールや報告書で活用できます。
価値と成果に関する表現
提案書やプレゼンテーションでは、商品や施策が何をもたらすかを説明する機会が多いでしょう。
Our service can bring measurable value to your team.は「当社のサービスは、貴社チームに測定可能な価値をもたらすことができます」という内容です。
The new process brought greater efficiency.は「新しい工程によって効率が向上しました」と表せます。
benefit、value、growth、improvement、opportunityなどはbringと相性のよい名詞です。
一方で、bring profitを使うこともできますが、利益そのものを強く示すため、文脈によってはdeliver resultsやgenerate revenueのほうが具体的に響く場合もあります。
This proposal is expected to bring long term benefits.
この提案は長期的な利益をもたらすと期待されています。
The campaign brought more inquiries from new customers.
そのキャンペーンにより、新規顧客からの問い合わせが増えました。
依頼とメールでの丁寧な表現
ビジネスメールでは命令的に聞こえないよう、Could youやWould youを添えると安心です。
Could you bring the signed form when you visit our office?は「ご来社の際、署名済みの書類をお持ちいただけますでしょうか」という丁寧な依頼になります。
Would you mind bringing this matter to the manager?は「この件を担当マネージャーへお伝えいただけますか」という意味です。
bring it to the managerは、単に資料を運ぶだけでなく、その案件を上司に知らせて判断を仰ぐ感覚を含みます。
相手に問題を提起する場合には、I would like to bring up a concern.という表現も役立ちます。
bringは物だけでなく、論点や注意事項を会議の場へ持ち込む動詞として覚えると、仕事での表現力が広がります。
ビジネスではbring value、bring attention to、bring up a topic、bring a matter to someone’s attentionが特に実用的です。
持参、共有、提起、成果という四つの役割を意識すると、適切な表現を選びやすくなります。
bringを含む句動詞とスラング
続いてはbring aboutやbring upなど、重要な句動詞とくだけた使い方を確認していきます。
bring aboutとbring on
bring aboutは「引き起こす」「実現する」という意味です。
大きな変化、結果、改革などを主語がもたらす場面で使われます。
The new policy brought about major changes.は「新しい方針は大きな変化をもたらしました」です。
bring aboutはやや硬めで、報告書、ニュース、論説などにもなじむ表現です。
bring onも「引き起こす」と訳せますが、病気、眠気、不安、危機など、望ましくない状態に使われる傾向があります。
Stress can bring on headaches.は「ストレスによって頭痛が起こることがあります」という意味です。
なお、Bring it on.は別の慣用表現で、「かかってこい」「受けて立つ」といった挑戦的で勢いのある言葉になります。
bring upとbring back
bring upには主に二つの重要な意味があります。
一つは話題や問題を「持ち出す」「提起する」という意味です。
She brought up an important question.は「彼女は重要な質問を持ち出しました」となります。
もう一つは子どもを「育てる」という意味で、They brought up their children in Tokyo.のように使われます。
bring backは「持ち帰る」「返す」と「思い出をよみがえらせる」の両方を表します。
Please bring the equipment back by Friday.なら「金曜日までに機材を返してください」です。
That photo brings back memories.なら「その写真を見ると思い出がよみがえります」となります。
bring back memoriesは日常会話、SNS、映画の感想などでよく見かける自然な組み合わせです。
bring downとbring out
bring downは、数値や水準を「下げる」、人や組織を「失脚させる」、気分を「落ち込ませる」など、文脈により意味が変わります。
We need to bring down costs.は「コストを下げる必要があります」です。
Bad weather brought down the attendance.は「悪天候のため参加者数が減りました」という意味になります。
bring outは「取り出す」「発売する」「引き出す」という用法があります。
The company brought out a new model.は「その会社は新モデルを発売しました」です。
Her question brought out the best ideas in the team.は「彼女の質問によって、チームの最良のアイデアが引き出されました」と表せます。
| 句動詞 | 主な意味 | 使われやすい場面 |
|---|---|---|
| bring about | 引き起こす、実現する | 変化、改革、結果 |
| bring up | 話題にする、育てる | 会議、家庭、教育 |
| bring back | 返す、思い出させる | 返却、記憶、懐かしさ |
| bring down | 下げる、落ち込ませる | 価格、コスト、気分 |
| bring out | 発売する、引き出す | 製品、才能、意見 |
| bring in | 導入する、収入をもたらす | 制度、人材、売上 |
bringの言い換えと使い分け
続いてはbringをより自然に言い換えるための表現を確認していきます。
carryとtakeによる言い換え
carryは「持ち運ぶ」という動作そのものに注目する動詞です。
He is carrying a heavy box.は「彼は重い箱を運んでいます」であり、到着地点は必ずしも示しません。
bringは目的地へ持ってくることを強調するため、Please bring the box inside.のように使います。
takeは、話し手側から別の場所へ運ぶときの自然な言い換えです。
Can you take these papers to the reception desk?は「この書類を受付へ持っていってもらえますか」となります。
移動の途中を描くならcarry、到着地点へ寄せるならbring、そこから離すならtakeという整理が役立ちます。
causeとcreateによる言い換え
bring aboutのように結果をもたらす意味では、causeやcreateが候補になります。
causeは原因と結果の関係を明確にする語で、好ましくない結果にも中立的な結果にも使えます。
The error caused a delay.は「そのエラーが遅延を引き起こしました」です。
createは新しい価値、機会、仕組みなどを生み出す意味で使いやすい表現です。
The project created new opportunities.は「そのプロジェクトは新しい機会を生み出しました」となります。
bring valueは自然ですが、create valueもビジネス文書で頻繁に使われます。
bring positive change
良い変化をもたらす
create positive change
良い変化を生み出す
cause a problem
問題を引き起こす
mentionとraiseによる言い換え
bring up a topicを言い換えるなら、mention、raise、discussなどが候補です。
mentionは軽く話題に触れる場合に適しています。
He mentioned the schedule during lunch.は「彼は昼食中に予定へ少し触れました」というニュアンスです。
raiseは問題、質問、懸念を正式に提起する響きを持ちます。
She raised a concern about security.は「彼女はセキュリティーに関する懸念を提起しました」です。
bring upはmentionよりも話題を会話の中心へ出す感覚があり、raiseよりは日常会話でも使いやすい表現です。
相手との関係や会議の正式さに合わせて選ぶとよいでしょう。
bringの言い換えでは、日本語訳だけで選ばず、方向、到着、原因、話題の重さを確認することが大切です。
同じ「持ってくる」「もたらす」でも、英語では場面ごとに最も自然な動詞が異なります。
bringの使い方のまとめ
bringは「こちらへ持ってくる」「連れてくる」という意味を出発点に、価値、結果、変化、話題、記憶まで幅広く表せる動詞です。
基本の方向は話し手や目的地へ向かうイメージであり、反対方向にはtakeを使うことが多くなります。
発音はカタカナでブリングと覚えつつ、最後のngを短く鼻に響かせると英語らしく聞こえるでしょう。
過去形と過去分詞形はbroughtなので、例文と一緒に定着させるのがおすすめです。
ビジネスではbring value、bring a matter to someone’s attention、bring up a concernなどが特に役立ちます。
bring about、bring back、bring down、bring outのような句動詞は意味の幅が大きいため、まとまりで覚えると会話や英文読解で理解が速くなります。
bringは目的地へ何かを届け、そこに変化を起こす動詞と捉えると、多くの用法が一本につながります。