数学の学習を進めていくと、必ずといっていいほどぶつかる壁が合成関数の積分です。
単純な多項式の積分なら公式を当てはめるだけで解けますが、関数の中に関数が入っている形になると、とたんに手が止まってしまう方が多いのではないでしょうか。
実はこの合成関数の積分には、置換積分という強力な武器があります。
この記事では合成関数の積分は?計算方法と解き方も!(置換積分・変数変換・公式・例題など)というテーマで、基礎から応用までを丁寧に解説していきます。
置換積分の公式の使い方、変数変換のコツ、そして具体的な例題を通じて、合成関数の積分を得意分野に変えていきましょう。
数式が苦手な方でも理解できるよう、できるだけかみ砕いた表現を心がけました。
ぜひ最後まで読んで、テストや受験の得点アップにつなげてください。
合成関数の積分は置換積分で攻略できる
それではまず、合成関数の積分は?計算方法と解き方も!というタイトルに対する結論から解説していきます。
結論からお伝えすると、合成関数の積分の多くは置換積分という手法を使うことで解決できます。
置換積分とは、複雑な式の一部を新しい文字(多くはtやuを使います)に置き換えることで、見た目をシンプルにしてから積分する方法です。
合成関数の積分の基本的な考え方
合成関数とは、簡単にいえば関数の中に別の関数が組み込まれた形の式のことです。
たとえばy=(2x+1)の5乗のような式は、内側の2x+1という関数と、外側のxの5乗という関数が組み合わさっています。
このような式をそのまま展開して積分しようとすると、計算量が膨大になってしまいます。
そこで内側の関数を新しい変数に置き換え、計算を単純化するのが基本の考え方です。
置換積分が有効な理由
なぜ置換積分が合成関数の積分に有効なのでしょうか。
その理由は、微分の連鎖律(合成関数の微分公式)と積分が表裏一体の関係にあるためです。
微分でy=f(g(x))をg(x)の微分とf(x)の微分の掛け算で求められるように、積分でも同じ構造を利用して計算を逆算できます。
この対応関係を理解しておくと、どんな式に置換積分を使うべきか判断しやすくなるでしょう。
計算の全体の流れ
合成関数の積分を解く際の大まかな流れは、以下の三つのステップに整理できます。
ステップ1 置き換える部分(内側の関数)をtやuなどの文字に設定する。
ステップ2 tをxで微分し、dtとdxの関係式を作る。
ステップ3 元の式をすべてtの式に書き換えてから積分し、最後にxに戻す。
この流れさえ押さえておけば、多くの合成関数の積分問題に対応できるようになります。
次の章からは、それぞれのステップをより詳しく見ていきましょう。
合成関数とは何か
続いては、そもそも合成関数とはどのような関数なのかを確認していきます。
積分の話に入る前に、合成関数の定義をしっかり理解しておくことが重要です。
合成関数の定義
合成関数とは、ある関数の出力を別の関数の入力として使う関数のことです。
数式で表すと、y=f(g(x))という形になります。
ここでg(x)が内側の関数、f(u)が外側の関数です。
たとえばg(x)=x+3、f(u)=uの2乗とすると、合成関数はy=(x+3)の2乗となります。
この入れ子構造こそが、合成関数の最大の特徴といえるでしょう。
合成関数の例
合成関数は数学のさまざまな場面で登場します。
以下の表で、代表的な合成関数の例を確認してみましょう。
| 内側の関数g(x) | 外側の関数f(u) | 合成関数f(g(x)) |
|---|---|---|
| x+1 | uの3乗 | (x+1)の3乗 |
| 2x | sin u | sin2x |
| xの2乗 | eのu乗 | eのxの2乗乗 |
| 3x+2 | log u | log(3x+2) |
このように、三角関数や指数関数、対数関数の中に多項式が入っているケースも、すべて合成関数の一種です。
入試問題や定期テストでは、こうした形の関数の積分が頻繁に出題されます。
微分との関係(合成関数の微分公式)
合成関数の積分を理解するうえで欠かせないのが、合成関数の微分公式です。
y=f(g(x))のとき
dy/dx=f’(g(x))×g’(x)
この公式は連鎖律と呼ばれ、外側の関数を微分したものと、内側の関数を微分したものを掛け合わせる形になっています。
積分はこの微分の逆演算なので、連鎖律の構造を逆にたどることで積分の手がかりが見えてきます。
つまり被積分関数の中に「内側の関数の微分」がセットで存在していれば、置換積分がうまくハマるサインだと考えられるでしょう。
置換積分の公式と使い方
続いては、置換積分の公式とその具体的な使い方を確認していきます。
ここが合成関数の積分をマスターするうえで、最も重要なパートです。
置換積分の基本公式
置換積分の基本公式は、以下のように表されます。
∫f(g(x))×g’(x)dx=∫f(t)dt(ただしt=g(x))
この公式のポイントは、被積分関数の中にg’(x)、つまり内側の関数を微分した形が含まれている点です。
この形さえ見つけられれば、あとは機械的にtへの置き換え作業を進めるだけになります。
逆にg’(x)に相当する部分が見当たらない場合は、単純な置換積分では解けないケースもあるため注意が必要です。
dx置き換えの手順
置換積分でつまずきやすいポイントのひとつが、dxの置き換え作業です。
手順は次のようになります。
1 t=g(x)とおく。
2 両辺をxで微分し、dt/dx=g’(x)を導く。
3 dt=g’(x)dxと変形し、dxをdtで表す。
4 元の積分式のg(x)をtに、dxをdt/g’(x)に置き換える。
この作業を丁寧に行わないと、dxの処理を誤って答えが合わなくなってしまいます。
特にg’(x)が定数でない場合は、置き換え後の式が正しく約分されるかどうかを必ず確認しましょう。
積分区間の変換(定積分の場合)
不定積分だけでなく、定積分でも置換積分はよく使われます。
定積分で置換積分を行う場合、忘れてはいけないのが積分区間の変換です。
xの区間をそのまま使うのではなく、t=g(x)の関係式を使って対応するtの区間に書き換える必要があります。
例 x=0からx=1までの定積分で、t=2x+1とおく場合
x=0のときt=1
x=1のときt=3
よって積分区間はt=1からt=3に変換される
この区間変換を忘れて元のxの数値をそのままtに代入してしまうミスは非常に多いです。
定積分の問題では、この点を特に意識して計算を進めましょう。
変数変換のパターン別解法
続いては、関数の種類ごとの変数変換のパターンを確認していきます。
合成関数の積分といっても、含まれる関数の種類によって置き換え方のコツが少しずつ異なります。
y=f(g(x))g’(x)型の積分
最も基本的なパターンが、多項式や累乗の形をした合成関数です。
たとえば∫(2x+1)の5乗×2dxのような式では、内側の2x+1をtとおくと、微分したdt/dxが2になり、被積分関数にぴったり一致します。
∫(2x+1)の5乗×2dx
t=2x+1とおくとdt=2dx
=∫tの5乗dt=tの6乗/6+C
=(2x+1)の6乗/6+C
このように、係数がきれいに一致するパターンは最も解きやすい部類に入るでしょう。
三角関数を含む合成関数の積分
三角関数が絡む合成関数の積分も頻出です。
sin、cos、tanの中に多項式が入っている場合、内側の関数をtとおいて置換します。
∫sin(3x)×3dx
t=3xとおくとdt=3dx
=∫sin t dt=-cos t+C
=-cos(3x)+C
三角関数の積分では符号の間違いが起こりやすいので、cosの積分がsinになり、sinの積分がマイナスcosになるという基本を必ず確認してください。
倍角や半角の公式が絡む複雑な問題では、まず式を整理してから置換積分を適用する流れが有効でしょう。
指数・対数関数を含む合成関数の積分
指数関数や対数関数を含む合成関数も、置換積分の得意分野です。
∫eの(xの2乗)乗×2x dx
t=xの2乗とおくとdt=2x dx
=∫eのt乗dt=eのt乗+C
=eの(xの2乗)乗+C
指数関数eのx乗は微分しても形が変わらないという特徴があるため、置換積分との相性が非常に良いです。
対数関数が絡む場合は、g’(x)/g(x)の形が積分するとlog|g(x)|+Cになるという公式も合わせて覚えておくと便利でしょう。
具体的な例題で理解を深める
続いては、実際の例題を使って計算の流れを確認していきます。
公式や理屈だけでなく、手を動かして解くことで理解がぐっと深まります。
例題1 多項式の合成関数
次の不定積分を求めてみましょう。
問題 ∫x(xの2乗+1)の3乗dxを求めよ
解答
t=xの2乗+1とおく
dt=2x dxよりx dx=dt/2
=∫tの3乗×(dt/2)
=(1/2)∫tの3乗dt
=(1/2)×tの4乗/4+C
=(xの2乗+1)の4乗/8+C
この例題のポイントは、x dxという形をdt/2に置き換えられるかどうかです。
係数がぴったり一致しない場合でも、分数の形で調整すれば問題なく計算できます。
例題2 三角関数の合成関数
続いて、三角関数を含む例題に挑戦してみましょう。
問題 ∫cos x×sinの2乗x dxを求めよ
解答
t=sin xとおく
dt=cos x dx
=∫tの2乗dt
=tの3乗/3+C
=sinの3乗x/3+C
この問題では、sin xを内側の関数とみなし、cos xがその微分にあたることに気づけるかどうかがカギになります。
三角関数の積分では、どちらを内側の関数にするかを見極める練習を積むことが大切でしょう。
例題3 指数関数の合成関数
最後に、指数関数を含む定積分の例題を見ていきます。
問題 x=0からx=1までの∫2x×eの(xの2乗)乗dxを求めよ
解答
t=xの2乗とおく
dt=2x dx
x=0のときt=0、x=1のときt=1
=t=0からt=1までの∫eのt乗dt
=[eのt乗](t=0から1)
=e-1
定積分の場合は、最後にxへ戻す作業が不要になる代わりに、区間の変換を忘れずに行う点がポイントです。
この違いを意識しておくと、不定積分と定積分の使い分けがスムーズになるでしょう。
計算時によくあるミスと注意点
続いては、合成関数の積分でつまずきやすいポイントを確認していきます。
ミスのパターンを事前に知っておくことで、同じ間違いを防ぎやすくなります。
置換後にdxを忘れるミス
最も多いミスが、tへの置き換えは正しくできているのに、dxの変換を忘れてしまうケースです。
g(x)の部分だけをtに置き換えて、dxをそのままdtとして扱ってしまうと、当然答えは合いません。
置換積分を行う際は、必ずdt=g’(x)dxという関係式をセットで書き出す習慣をつけましょう。
積分区間の変換忘れ
定積分において、tに置き換えたにもかかわらず積分区間をxのまま使ってしまうミスも非常によく見られます。
先ほどの例題でも触れたとおり、区間はxの値ではなくtの値に対応させる必要があります。
不安な場合は、いったんtの式のまま計算し、最後にxへ戻してからxの区間で数値を代入するという別解の手順を使うのも有効な対策です。
置換に適した式を選べないケース
どの部分をtとして置き換えればよいか判断できず、手が止まってしまうこともあるでしょう。
そのような場合は、まず被積分関数の中で最も複雑な部分(累乗の中身や三角関数の中身など)に注目してみてください。
置換の候補を選ぶコツとして、以下の順番でチェックすると見つけやすくなります。
累乗の指数部分の中身をtにできないか確認する。
三角関数や指数関数、対数関数の中身をtにできないか確認する。
置き換えた後、残りの式がtの微分(dt/dx)と一致するかを確認する。
この手順を繰り返し練習することで、初見の問題でも置換のパターンを見抜けるようになっていきます。
焦らず一つずつ確認する癖をつけることが、ミスを減らす一番の近道といえるでしょう。
まとめ
今回は、合成関数の積分は?計算方法と解き方も!というテーマで、置換積分や変数変換の考え方、公式、そして具体的な例題までを解説してきました。
合成関数の積分は、内側の関数をtに置き換え、dxをdtに変換し、最後にtの式を積分してからxに戻すという流れが基本です。
三角関数や指数関数、対数関数といった関数の種類によって多少のコツの違いはあるものの、根本的な考え方はすべて共通しています。
定積分では積分区間の変換を忘れないこと、そしてdxの処理を丁寧に行うことが、ミスを防ぐ最大のポイントです。
最初は難しく感じるかもしれませんが、パターンごとに例題を繰り返し解くことで、必ず自信を持って計算できるようになります。
ぜひこの記事を参考に、合成関数の積分の練習を重ねてみてください。