パルス信号を扱うとき、パルス幅と周波数はどのようにつながるのか迷うことがあります。
オシロスコープの測定値を読む場面や、PWM制御の設定、センサー信号の確認では、周期、デューティ比、オン時間をまとめて理解することが重要です。
ただし、周波数だけではパルス幅は決まりません。
パルス幅を求めるには、周波数とデューティ比の両方、または周期とオン時間の情報が必要になります。
この記事では基本の換算式から信号波形の読み方、具体的な計算例、測定時の注意点までを順番に解説します。
パルス幅と周波数の基本関係

それではまずパルス幅と周波数の関係について解説していきます。
周波数と周期の逆数関係
周波数とは、1秒間に同じ波形が何回繰り返されるかを示す値です。
単位にはHzが使われ、1Hzは1秒間に1回の繰り返しを意味します。
一方の周期は、波形が1回繰り返されるまでにかかる時間です。
周波数をf、周期をTとすると、両者は逆数の関係になります。
周期Tは1を周波数fで割った値です。
T = 1 ÷ f
周波数fは1を周期Tで割った値です。
f = 1 ÷ T
たとえば周波数が1000Hzなら、1秒間に1000回の繰り返しが起こります。
このときの周期は0.001秒、つまり1msです。
周波数が高くなるほど周期は短くなり、波形は時間軸上で密になります。
周波数から直接求められるのは周期であり、オン時間そのものではない点が大切です。
パルス幅とオン時間の意味
パルス幅とは、一般に信号がハイレベルになっている時間を指します。
デジタル信号では、電圧が高い状態の継続時間をオン時間、高レベル時間、パルスオン幅などと呼ぶことがあります。
反対に、ローレベルが続く時間はオフ時間です。
周期はパルス幅とオフ時間を合計した時間になります。
周期 = パルス幅 + オフ時間です。
したがって、周波数が同じでもパルス幅とオフ時間の配分は変えられます。
同じ1kHzの信号であっても、ハイレベルが0.1msの波形と0.8msの波形では、出力の性質が大きく変わります。
この配分を数値で表すために使われるのがデューティ比です。
パルス幅を理解する際は、周波数だけを見るのではなく、周期の中でハイレベルが占める割合に注目する必要があります。
周波数だけではパルス幅が決まらない理由
周波数が固定されている場合、周期は一定です。
しかし、その周期内で信号をどれだけ長くオンにするかは別に設定できます。
たとえば周期が10msの信号では、パルス幅を1ms、5ms、9msのように変更できます。
いずれも1周期が10msであるため、周波数は100Hzのままです。
| 周波数 | 周期 | パルス幅 | デューティ比 |
|---|---|---|---|
| 100Hz | 10ms | 1ms | 10% |
| 100Hz | 10ms | 5ms | 50% |
| 100Hz | 10ms | 8ms | 80% |
このように、周波数は繰り返しの速さを示し、パルス幅は各サイクルでオンになっている時間を示します。
両者は無関係ではありませんが、デューティ比を介して結び付く値と考えると整理しやすいでしょう。
デューティ比とパルス幅の換算式
続いてはデューティ比を使った換算式を確認していきます。
デューティ比の定義
デューティ比は、1周期に対するパルス幅の割合です。
百分率で表すことが多く、50%であればハイレベルとローレベルの時間が同じになります。
パルス幅をPW、周期をT、デューティ比をDとすると、基本式は次のようになります。
デューティ比D = パルス幅PW ÷ 周期T × 100
パルス幅PW = 周期T × D ÷ 100
デューティ比は0%から100%の範囲で扱います。
0%に近いほどオン時間は短くなり、100%に近いほど信号はほぼ連続してハイレベルになります。
50%は基準として使いやすい値ですが、必ずしも最適な設定とは限りません。
周波数からパルス幅を求める計算
周波数とデューティ比が分かれば、パルス幅を求められます。
最初に周波数から周期を算出し、その後で周期にデューティ比を掛けます。
パルス幅PW = 1 ÷ 周波数f × デューティ比D ÷ 100
つまりPW = D ÷ 100f です。
たとえば周波数が2kHz、デューティ比が25%のPWM信号を考えます。
2kHzは2000Hzなので、周期は1÷2000で0.0005秒、つまり0.5msです。
この0.5msの25%がパルス幅になり、答えは0.125ms、または125μsです。
単位換算では、1msは1000μsです。
高周波信号ではμsやnsを使うことが多いため、秒のまま計算して最後に単位をそろえる方法がミスを減らします。
パルス幅から周波数を考える方法
パルス幅とデューティ比が分かっている場合は、逆に周期や周波数を計算できます。
たとえばパルス幅が200μsで、デューティ比が40%なら、周期は200μsを0.4で割った500μsです。
500μsは0.0005秒なので、周波数は1÷0.0005で2kHzになります。
| パルス幅 | デューティ比 | 周期 | 周波数 |
|---|---|---|---|
| 100μs | 10% | 1ms | 1kHz |
| 250μs | 50% | 0.5ms | 2kHz |
| 2ms | 20% | 10ms | 100Hz |
求めたい値の単位を先に決めておくと、計算結果の確認がしやすくなります。
特にμsとmsを取り違えると1000倍の差になるため、単位の接頭語まで含めて見直すことが欠かせません。
周期と時間単位の換算方法
続いては周期と時間単位の換算方法を確認していきます。
Hzと秒の対応
Hzは毎秒の繰り返し回数であり、周期は秒で表すのが基本です。
ただし実務では、扱う周波数帯に応じてms、μs、nsを選ぶ必要があります。
100Hz程度ならms、数kHzから数MHzならμs、さらに高速な信号ではnsが読みやすい単位になります。
| 周波数 | 周期 | 読み替え |
|---|---|---|
| 1Hz | 1秒 | 1000ms |
| 10Hz | 0.1秒 | 100ms |
| 1kHz | 0.001秒 | 1ms |
| 10kHz | 0.0001秒 | 100μs |
| 1MHz | 0.000001秒 | 1μs |
周波数の単位にkやMが付く場合、計算前にHzへ直すと安全です。
1kHzは1000Hz、1MHzは100万Hzという関係を押さえておきましょう。
ミリ秒とマイクロ秒の変換
時間の換算では、1秒を基準に考えると混乱しにくくなります。
1msは0.001秒、1μsは0.000001秒です。
したがって1msは1000μsであり、1μsは1000nsになります。
たとえば周期が20μs、デューティ比が30%の場合、パルス幅は6μsです。
これを秒で表示すると0.000006秒になります。
計算中の単位はできるだけ統一します。
周期をμsで扱うならパルス幅もμsで求め、最後に必要な単位へ換算する流れが実用的です。
表計算ソフトや電卓では指数表示になることもあります。
表示された数値だけで判断せず、単位欄や接頭語を確認する習慣が大切です。
周期と立ち上がり時間の違い
周期とパルス幅に加えて、立ち上がり時間と立ち下がり時間も測定画面に表示される場合があります。
立ち上がり時間はローレベルからハイレベルへ変化するまでの時間であり、パルス幅とは意味が異なります。
一般には振幅の10%から90%まで、または20%から80%までの変化時間を使って定義します。
立ち上がりが遅い信号では、設定したパルス幅が短い場合に波形が十分なレベルまで到達しないこともあります。
そのため高速回路では、パルス幅だけでなくエッジの速さも性能に影響します。
データ通信やクロック信号の評価では、周期、ジッタ、立ち上がり時間を分けて確認することが重要です。
信号波形とPWM制御の見方
続いては信号波形とPWM制御の見方を確認していきます。
矩形波におけるハイレベルとローレベル
パルス信号は、時間の経過に伴ってハイレベルとローレベルを繰り返す矩形波として表されることが多いでしょう。
横軸は時間、縦軸は電圧です。
ハイレベルの横幅がパルス幅であり、1周期分の横幅が周期に相当します。
オフ時間を含めた1周期全体に対し、ハイレベル部分がどれだけあるかを示す値がデューティ比です。
たとえば50%デューティの矩形波では、ハイとローの横幅が同じになります。
ただし、実際の波形は理想的な四角形とは限りません。
配線、負荷、測定プローブの影響によって、角が丸くなったりリンギングが見えたりする場合があります。
PWMにおける周波数とデューティ比
PWMはパルス幅変調と呼ばれる制御方式です。
周波数を一定に保ち、デューティ比を変化させることで平均電力や実効的な出力を調整します。
LEDの明るさ調整、DCモーターの回転制御、ヒーターの温度制御などで広く使われます。
デューティ比を20%から80%へ上げると、1周期あたりのオン時間は長くなります。
その結果、負荷へ与えられる平均的なエネルギーも増える傾向があります。
PWMでは周波数とデューティ比の役割を分けて考えることが重要です。
周波数は切り替えの速さ、デューティ比はオン時間の割合を決めます。
ただし、最適な周波数は用途によって異なります。
低すぎるとちらつきや振動音が生じることがあり、高すぎるとスイッチング損失やノイズの影響が増える場合もあります。
デューティ比だけでなく周波数の選定も、回路設計では重要な検討項目です。
パルス幅が変化する用途
パルス幅の調整はPWM以外にも使われます。
超音波センサーでは、送信パルスの長さが検出距離や分解能に関係することがあります。
レーザー加工やパルス電源では、オン時間がエネルギー投入量や熱の広がりに影響します。
サーボモーターの制御信号では、一定周期の中に含まれるパルス幅によって目標角度を指定する方式もあります。
この場合、周波数はおおむね固定で、パルス幅の違いが制御情報になります。
用途によっては、デューティ比よりも絶対的なパルス幅を重視することがあります。
同じ割合でも周期が違えば実際のオン時間は変わるため、制御仕様を確認するときは単位付きの値を見ることが必要です。
測定機器によるパルス幅の確認方法
続いては測定機器によるパルス幅の確認方法を確認していきます。
オシロスコープの時間軸設定
パルス幅と周期を確認する代表的な機器がオシロスコープです。
画面の横方向は時間を表すため、まず対象信号に合う時間軸を設定します。
1周期が画面内に数回程度見える状態にすると、周波数とデューティ比の把握がしやすくなります。
時間軸を拡大すれば、立ち上がり部分や短いパルス幅も詳しく確認できます。
一方で拡大しすぎると周期全体が見えにくくなるため、目的に応じた切り替えが必要です。
まず全体を表示して周期を確認し、次に拡大してパルス幅を測る流れが分かりやすいでしょう。
カーソル測定と自動測定
多くのオシロスコープには、カーソル測定と自動測定の機能があります。
カーソル測定では、画面上の2点を指定して時間差を読み取れます。
パルスの立ち上がりと立ち下がりにカーソルを合わせれば、パルス幅を確認できます。
自動測定では、周波数、周期、プラス幅、デューティ比などを機器が算出します。
便利な機能ですが、ノイズが多い波形やしきい値が不適切な場合は、期待と異なる値が出ることもあります。
自動測定の数値と画面上の波形を両方確認することが、測定の信頼性を高めます。
トリガーが安定していない場合は、波形が流れて見えます。
トリガーレベルやエッジ設定を調整して、同じ位置で波形が停止する状態を作りましょう。
測定誤差とプローブの注意点
測定値には、オシロスコープ本体の時間精度、サンプリングレート、プローブの帯域、接続方法などが影響します。
特に短いパルス幅や急峻なエッジを扱うときは、十分な帯域を持つ機器とプローブが必要です。
グランドリードが長いと、不要なノイズやリンギングを拾いやすくなります。
可能な範囲でグランド接続を短くし、測定点の近くで接続することが有効です。
| 確認項目 | 主な影響 | 対策 |
|---|---|---|
| 時間軸設定 | 読取りやすさ | 周期全体と拡大表示を使い分ける |
| サンプリングレート | 短時間変化の再現性 | 対象信号に十分な速度を選ぶ |
| プローブ帯域 | エッジ形状の見え方 | 信号帯域に合う製品を使う |
| グランド接続 | ノイズとリンギング | 配線を短く保つ |
測定環境によって結果が変わる可能性を踏まえ、数値だけを絶対視しない姿勢も大切です。
パルス幅と周波数の関係のまとめ
パルス幅と周波数を正しく扱うには、周波数、周期、デューティ比の役割を分けて理解することがポイントです。
周波数は1秒あたりの繰り返し回数であり、周期とは逆数の関係にあります。
パルス幅はハイレベルが続く時間で、周波数だけでは決まりません。
周波数とデューティ比が分かる場合、パルス幅は周期にデューティ比を掛けることで求められます。
計算ではHz、ms、μs、nsの単位をそろえ、換算時の桁違いを防ぐことが重要です。
PWM制御では、周波数が切り替えの速さを、デューティ比がオン時間の割合を決めます。
オシロスコープで確認するときは、周期全体の表示、自動測定、カーソル測定を組み合わせると判断しやすくなるでしょう。
パルス幅の基本式は、パルス幅 = 1 ÷ 周波数 × デューティ比 ÷ 100です。
この式と単位換算を押さえれば、信号波形の設定や測定値の確認をよりスムーズに進められます。