三角関数の学習を進めていくと、必ずと言っていいほどぶつかる壁がtanの公式です。
sinやcosに比べて公式の数が多く感じられ、どれがどの場面で使えるのか混乱してしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事ではtanの公式は?まとめて解説!(基本公式:加法定理:2倍角・3倍角:半角:積和・和積:変換公式など)というテーマに沿って、基本公式から加法定理、2倍角・3倍角の公式、半角の公式、積和・和積の公式、そして変換公式までを順番に整理していきます。
それぞれの公式がどんな場面で役立つのか、具体例を交えながら丁寧に見ていきましょう。
公式を丸暗記するのではなく、成り立ちを理解しながら読み進めていただければ、テストや受験本番でも自信を持って使いこなせるはずです。
tanの公式は?結論からまとめて解説
それではまずtanの公式は?という疑問に対する結論からお伝えしていきます。
tanに関する公式は大きく分けて六種類に整理できます。
基本公式、加法定理、2倍角・3倍角の公式、半角の公式、積和・和積に関する公式、そして他の三角関数への変換公式です。
いずれもsinとcosの関係式から導かれており、根本的にはtanθイコールsinθ割るcosθという定義に立ち返ることがすべての出発点になります。
tanの公式は暗記量が多く見えても、実は元をたどればほぼ同じ考え方の繰り返しなのです。
tanの公式は全部で六種類に分類できます
先ほど触れた通り、tanの公式は六つのグループに分けて考えると整理がしやすくなります。
基本公式は土台となる関係式、加法定理はその応用、2倍角・3倍角・半角は加法定理から派生した公式です。
積和・和積の公式はsinやcosとの組み合わせで角度の和や差を扱う際に便利ですし、変換公式は他の三角関数へ橋渡しをする役割を持っています。
こうして体系立てて見ると、tanの公式は決して独立したバラバラの知識ではないことが分かるでしょう。
覚え方のコツ
tanの公式を覚える際のコツは、すべてを個別に暗記しようとしないことです。
加法定理さえ正確に覚えておけば、2倍角も3倍角も半角も自力で導出できます。
つまり優先して覚えるべきは加法定理であり、他の公式は導出方法とセットで理解する方が記憶に残りやすいのです。
公式集を眺めるだけでなく、実際に手を動かして導いてみることをおすすめします。
使い分けの基本
公式が多いtanですが、使い分けの基準は意外とシンプルです。
角度の足し算や引き算が出てきたら加法定理、同じ角度が二倍や三倍になっていたら2倍角・3倍角の公式、角度が半分になっていたら半角の公式を疑うとよいでしょう。
積や和の形に変換したいときは積和・和積の公式、sinやcosに置き換えたいときは変換公式という具合に、問題文の形を見て公式を選ぶ習慣をつけてください。
tanの基本公式
続いてはtanの基本公式について確認していきます。
すべての公式の出発点となる部分なので、ここをしっかり押さえておくことが後の内容の理解度を大きく左右します。
tanの定義
tanθは直角三角形における対辺と隣辺の比、あるいは単位円上の座標を用いて定義されます。
もっとも基本的な式は次の通りです。
tanθ イコール sinθ 割る cosθ
この一行がすべての公式の出発点であることを忘れないでください。
cosθがゼロになる角度、つまりθが90度や270度のときはtanθが定義されない点にも注意が必要です。
tanと単位円の関係
単位円上で考えると、tanθは円周上の点のy座標をx座標で割った値に一致します。
角度が大きくなるにつれてtanの値がどう変化するか、グラフを思い浮かべながら確認してみましょう。
90度に近づくにつれて値が無限大に発散していく様子は、cosθがゼロに近づくことと対応しています。
単位円のイメージを持っておくと、公式の意味が視覚的に理解しやすくなります。
tanの基本公式一覧
基本公式として押さえておきたいものを表にまとめました。
| 公式名 | 内容 |
|---|---|
| 定義式 | tanθ イコール sinθ 割る cosθ |
| 相互関係 | 1 プラス tan二乗θ イコール 1 割る cos二乗θ |
| 周期性 | tan(θ プラス 180度)イコール tanθ |
| 奇関数性 | tan(マイナスθ)イコール マイナスtanθ |
特に相互関係の式は後述する変換公式でも重要な役割を果たすので、余裕があれば導出方法まで確認しておくとよいでしょう。
tanの加法定理
続いてはtanの加法定理について確認していきます。
加法定理はtanの公式全体の中でも中心的な存在であり、他の多くの公式の元になっています。
tanの加法定理の公式
tanの加法定理は次のように表されます。
tan(α プラス β)イコール(tanα プラス tanβ)割る(1 マイナス tanα かける tanβ)
tan(α マイナス β)イコール(tanα マイナス tanβ)割る(1 プラス tanα かける tanβ)
分母に1マイナスtanαかけるtanβという項が入っている点が、sinやcosの加法定理と大きく異なる特徴です。
この分母の符号を間違えるミスが非常に多いので注意してください。
加法定理の証明の考え方
tanの加法定理は、sinとcosの加法定理を組み合わせることで証明できます。
tan(α プラス β)はsin(α プラス β)割るcos(α プラス β)と書き換えられます。
分子と分母をそれぞれ展開し、cosαcosβで割り算をすることでtanαとtanβだけの式に整理できるという流れです。
この証明の流れを一度自分の手で追っておくと、公式を忘れてしまったときにも自力で再現できるようになります。
加法定理の使い方
加法定理は、15度や75度のようにきりのよい角度同士の足し算や引き算で表せる角度のtanを求める際によく使われます。
例えば15度は45度マイナス30度と考えることで、既知の値から計算できるようになるのです。
加法定理はtanの公式体系の心臓部にあたる存在です。
2倍角、3倍角、半角の公式はすべてこの加法定理から導かれています。
まずここを確実に覚えることが、tanの公式全体を理解する一番の近道といえるでしょう。
tanの2倍角・3倍角の公式
続いてはtanの2倍角・3倍角の公式を確認していきます。
加法定理でαとβを同じ角度にそろえることで導かれる公式群です。
tanの2倍角の公式
tanの加法定理でβをαに置き換えると、2倍角の公式が得られます。
tan2θ イコール 2tanθ 割る(1 マイナス tan二乗θ)
分母がゼロになる角度、つまりtanθがプラスマイナス1になる角度では定義できない点に注意しましょう。
図形問題や微分積分の計算過程でも頻繁に登場する重要な公式です。
tanの3倍角の公式
3倍角の公式は、2倍角の公式と加法定理を組み合わせて導出します。
tan3θ イコール(3tanθ マイナス tan三乗θ)割る(1 マイナス 3tan二乗θ)
形は複雑に見えますが、tan(2θ プラス θ)として加法定理を適用すれば導出できるはずです。
3倍角の公式は暗記の優先度がやや低めなので、必要なときに導出できれば十分でしょう。
2倍角3倍角の使い分け
2倍角の公式は角度を2倍にする問題、3倍角の公式は角度を3倍にする問題でそれぞれ使用します。
入試問題では2倍角の公式の出題頻度が圧倒的に高く、3倍角は応用問題や難関大学の入試で見かける程度です。
時間が限られている場合は、まず2倍角の公式を完璧に使いこなせるようにしておくとよいでしょう。
tanの半角の公式
続いてはtanの半角の公式について確認していきます。
角度を半分にする場面で使われる公式で、積分計算などでも活躍します。
tanの半角の公式
半角の公式にはいくつかの表現方法があります。
tan(θ 割る 2)イコール sinθ 割る(1 プラス cosθ)
tan(θ 割る 2)イコール(1 マイナス cosθ)割る sinθ
tan(θ 割る 2)イコール プラスマイナス ルート((1 マイナス cosθ)割る(1 プラス cosθ))
状況に応じて使いやすい形を選べるよう、複数の表現を知っておくと便利です。
半角公式の導出
半角の公式は、2倍角の公式においてθを半分の角度に置き換えることで導出できます。
cosθイコール1マイナス2sin二乗(θ割る2)という関係式を利用し、sinとcosの半角公式を経由してtanの半角公式にたどり着くという流れです。
導出過程がやや長いため、結果だけを覚えている受験生も多いですが、時間があるときに一度は確認しておきたいところです。
半角公式の活用例
半角の公式は22.5度のような半端な角度のtanを求める際に役立ちます。
また積分の計算でtan(θ割る2)イコールtという置換を行う場面でも登場する重要な式です。
この置換については後ほど変換公式の章で改めて詳しく解説します。
tanの積和・和積の公式
続いてはtanの積和・和積に関する公式を確認していきます。
厳密にはsinやcosの積和・和積公式ほど教科書で大きく扱われることは少ないものの、知っておくと計算が一気に楽になる場面が多くあります。
tanの積和の公式
tanαとtanβの和は、sinとcosの加法定理を利用して次のように書き換えられます。
tanα プラス tanβ イコール sin(α プラス β)割る(cosα かける cosβ)
tanα マイナス tanβ イコール sin(α マイナス β)割る(cosα かける cosβ)
tanαかけるtanβという積の形についても、加法定理の分母部分から取り出すことができます。
普段はあまり目にしない形ですが、複雑な三角方程式を解くときに突破口になってくれることがあるのです。
tanの和積の公式
先ほどの式を見方を変えて使うと、tanの和や差をsinとcosの積の形に変換できます。
これは分数の形をしたtanの式を、通分せずにひとつの分数として一気にまとめたいときに便利な考え方です。
証明問題で左辺と右辺の形が大きく異なる場合、この変換を経由すると一致させやすくなるでしょう。
積和和積公式の注意点
この公式群は教科書に太字で載っているわけではないため、存在自体を知らない受験生も少なくありません。
知っているかどうかで解答時間に大きな差がつく分野ともいえます。
tanの積和・和積に関する式は、加法定理さえ理解していれば自力で導出可能です。
丸暗記にこだわらず、必要になったときにその場で導き出せる状態を目指すことをおすすめします。
tanの変換公式
続いてはtanと他の三角関数との変換公式について確認していきます。
この分野は特に積分計算や図形問題で威力を発揮する内容です。
tanとsin cosの変換
基本の相互関係式から、以下のような変換が可能です。
1 プラス tan二乗θ イコール 1 割る cos二乗θ
この式を変形すればcosθをtanθで表すことができ、さらにsinθイコールtanθかけるcosθという関係を使えばsinθもtanθだけで表現できます。
三つの三角関数のうち一つが分かれば残り二つも求められるという性質は、問題を解くうえで非常に頼りになるはずです。
tanと他の三角関数の相互変換
受験や大学以降の数学で特に重宝されるのが、いわゆるワイエルシュトラス置換と呼ばれる変換公式です。
tを tan(θ割る2)と置くと、次のように表せます。
sinθ イコール 2t 割る(1 プラス t二乗)
cosθ イコール(1 マイナス t二乗)割る(1 プラス t二乗)
tanθ イコール 2t 割る(1 マイナス t二乗)
この置換を使うと、三角関数を含む複雑な積分計算が有理関数の積分に変換され、格段に解きやすくなります。
大学入試の難問や大学数学の演習で登場する強力な武器なので、ぜひ押さえておきたい内容です。
変換公式を使う場面
変換公式は、tanしか与えられていない条件からsinやcosの値を求めたい場面で活躍します。
また前述のワイエルシュトラス置換は、三角関数の積分で他の手法が使えないときの最終手段として覚えておくと安心です。
公式集の隅に載っていることが多いため見落とされがちですが、知っているだけで解ける問題が確実に増えるでしょう。
まとめ
ここまでtanの公式は?というテーマのもと、基本公式、加法定理、2倍角・3倍角の公式、半角の公式、積和・和積の公式、そして変換公式について解説してきました。
公式の数だけを見ると膨大に感じられますが、その根っこをたどればtanθイコールsinθ割るcosθという定義とtanの加法定理のふたつに集約されます。
加法定理さえしっかり覚えておけば、2倍角も3倍角も半角も自分の力で導き出せるはずです。
積和・和積の公式や変換公式は知名度こそ高くないものの、知っているだけで解答スピードが大きく変わる分野といえるでしょう。
ぜひ今回の内容を参考に、公式の丸暗記ではなく成り立ちを理解する学習を進めてみてください。
そうすることで、tanに関するどんな問題にも柔軟に対応できる力が身についていくはずです。