光度とは?基本概念と定義をわかりやすく解説(光度の意味:物理量:カンデラ:測定方法:光学の基礎など)
「光度(こうど)という言葉を聞いたことはあるが、明るさのことを指しているのか、それとも別の概念なのか」「カンデラという単位はどういう意味なのか」「照度や輝度との違いは何なのか」という疑問は、照明設計・光学機器・写真・映像の分野でよく聞かれます。
光度は光源が特定の方向に放射する光の強さを示す物理量であり、SI基本単位のひとつ「カンデラ(cd)」で表されます。
本記事では、光度の基本概念と定義、カンデラの意味と歴史、光度と関連する測光量(光束・照度・輝度)との違い、光度の測定方法まで詳しくわかりやすく解説します。
光度とは?特定方向への光の強さを示す物理量
それではまず、光度の基本的な定義と意味について解説していきます。
光度(Luminous Intensity:光の強度・発光強度)とは、光源が特定の方向に単位立体角(1ステラジアン)あたりに放射する光束(可視光のエネルギーフロー)の量を示す物理量です。
単位はカンデラ(cd:candela)であり、SI(国際単位系)の7つの基本単位のひとつとして定義されています。
光度の定義式と単位
【光度の定義式】
Iv = dΦv / dΩ
Iv:光度(Luminous Intensity)[cd:カンデラ]
dΦv:光束の微小量(Luminous Flux)[lm:ルーメン]
dΩ:立体角の微小量 [sr:ステラジアン]
→ 光度は「単位立体角あたりの光束」であり、光源がどれだけの光を特定方向に集中して放射しているかを示す
全方向に均一に光を放射する点光源の全光束と光度の関係
全光束 Φv = Iv × 4π [lm](全立体角4πステラジアンに対応)
例:全方向に100cdの均一光度を持つ点光源の全光束
Φv = 100 cd × 4π sr ≒ 1257 lm
光度は「光源から出る光の量(全光束)」ではなく「特定方向への光の強さの集中度」を示す点が照度や全光束とは根本的に異なります。
スポットライト・懐中電灯・LEDスポット照明など、特定方向に光を集中させる光源では光度(cd)が特に重要な性能指標となっています。
カンデラ(cd)の定義と意味
カンデラ(candela:cd)はSI基本単位のひとつであり、2019年のSI改定後は以下のように定義されています。
「カンデラは、周波数540×10¹²Hzの単色放射(波長約555nm・緑色光)を放射している光源の、所定の方向における光度の単位であり、その方向への放射強度が(1/683)W/srとなるような光度が1カンデラ(1cd)である」
周波数540THz(波長555nm)が選ばれたのは、ヒトの目の視感度(比視感度)が555nm付近で最大(V(λ)=1.0)になるためであり、人間の視覚的な感度のピークに合わせた定義です。
光度と「ろうそくの明るさ」の歴史的な関係
カンデラという名前はラテン語で「ろうそく(candela)」を意味しており、かつてはろうそく1本の光度(約1カンデラ)が光の強さの基準として使われていたことに由来します。
かつての単位「カンデル(Hefner candle)」「英カンドル(British standard candle)」など国際的に統一されていなかった明るさの基準が、1948年に現在のカンデラとして国際標準化されました。
光度と関連する測光量の比較
続いては、光度と密接に関連する他の測光量(光束・照度・輝度)との違いと関係を確認していきます。
光学・照明の分野では複数の測光量が登場するため、それぞれの定義と関係を正確に理解することが重要です。
主な測光量の一覧と比較
| 測光量 | 記号 | 単位 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 光度(Luminous Intensity) | Iv | cd(カンデラ) | 光源が特定方向に放射する光束/立体角 |
| 光束(Luminous Flux) | Φv | lm(ルーメン) | 光源が全方向に放射する可視光の総量 |
| 照度(Illuminance) | Ev | lx(ルクス) | 受光面の単位面積に入射する光束の密度 |
| 輝度(Luminance) | Lv | cd/m² | 光源または反射面の見かけの明るさ(単位面積・単位立体角) |
| 光束発散度(Luminous Exitance) | Mv | lm/m² | 面光源から放射される光束の面密度 |
光度は「光源から特定方向への光の集中強度(方向依存量)」であり、照度は「被照射面に届く光の多さ」・輝度は「面光源や反射面の見た目の明るさ」というそれぞれ異なる概念です。
光度と照度の関係(逆二乗則)
点光源の光度Iv(cd)と距離r(m)の位置での照度Ev(lx)の間には「逆二乗則(Inverse Square Law)」が成立します。
【光度と照度の逆二乗則】
Ev = Iv ÷ r²(光源と受光面が垂直の場合)
Ev = Iv × cosθ ÷ r²(光源と受光面が角度θをなす場合)
Ev:照度(lx)・Iv:光度(cd)・r:距離(m)・θ:入射角
計算例:光度 1000 cd のスポットライトから3m離れた点の照度(垂直入射)
Ev = 1000 ÷ 3² = 1000 ÷ 9 ≒ 111 lx
光度と光束の関係
全方向に均一な光度(均等放射点光源)を持つ光源では、全光束ΦvとIvの関係は Φv = Iv × 4π で表されます。
例えば白熱電球の60W(一般的な光束約810lm)に相当する照明器具の全方向均一光度は、Iv = 810/(4π) ≒ 64.5 cdとなります。
光度の測定方法と光度計の種類
続いては、光度の測定方法と使われる測定器(光度計)の種類を確認していきます。
ゴニオフォトメーター(配光測定器)
光度の方向依存性(配光特性:光源がどの方向にどれくらいの光度を放射しているか)を測定するのが「ゴニオフォトメーター(Goniophotometer)」です。
光源を回転させながら各方向の光度を測定してグラフ化した「配光曲線(Polar Diagram)」は、照明器具の性能評価・照明設計シミュレーションの入力データとして活用されます。
LED照明・自動車ヘッドライト・航空障害灯・交通信号機など、特定方向への光度が規格・規制値として定められている製品の品質検査ではゴニオフォトメーターによる配光測定が必須です。
輝度計と光度の関係
輝度計(Luminance Meter)は面光源・反射面の輝度(cd/m²)を測定する機器ですが、点光源に近い光源では輝度計の測定値と光度の関係から実効的な光度を推定することも可能です。
輝度計は特定の立体角(測定角度)で光源からの光を受光するため、測定角度と光源の形状によって光度の推定精度が変わります。
国家計量標準と光度のトレーサビリティ
光度の測定は国家計量標準(日本では産業技術総合研究所:AIST)へのトレーサビリティが確保された光度標準電球(Basic Standard Lamp)を基準として校正が行われます。
工業製品の光度測定・照明規格への適合試験では、校正されたゴニオフォトメーターや光度計を使って測定したデータが認定試験機関のレポートとして証明書に記載されます。
まとめ
本記事では、光度の定義(特定方向への単位立体角あたりの光束:Iv = dΦv/dΩ)とカンデラ(cd)の意味、カンデラの歴史と現代の定義(540THz・1/683 W/sr)、光束・照度・輝度との違い、逆二乗則(Ev = Iv/r²)、測定方法(ゴニオフォトメーター・輝度計)まで幅広く解説しました。
光度は光源が特定方向にどれだけ強く光を放射しているかを示す物理量であり、スポット照明・自動車ランプ・LED製品の性能評価に欠かせない測光量です。
光度・光束・照度・輝度の概念と単位(cd・lm・lx・cd/m²)を正確に理解することで、照明設計・光学機器選定・光学測定のすべての場面でより正確な判断が下せるようになるでしょう。