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ナノドロップとは?原理と使い方を解説!(分光光度計・核酸定量・吸光度測定・DNA・RNA濃度測定など)

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実験室で核酸の濃度を調べようとしたとき、少量のサンプルしかなくて困った経験はありませんか。

そんなときに強い味方となってくれるのが、今回ご紹介するナノドロップという装置です。

ナノドロップは、わずか1マイクロリットル程度のサンプルからDNAやRNAの濃度を素早く測定できる分光光度計の一種です。

従来のキュベット式分光光度計では、ある程度まとまった量のサンプルと専用の容器が必要でした。

しかしナノドロップは表面張力を利用した独自の測定方式を採用しているため、貴重なサンプルを無駄にすることなく吸光度を測定できます。

この記事では、ナノドロップとは何かという基本的な定義から、吸光度測定の原理、具体的な使い方、DNAやRNAの濃度測定における活用ポイント、さらにはトラブルシューティングや他の定量法との比較まで、幅広く解説していきます。

分子生物学や遺伝子解析の現場で日常的に使われる装置だからこそ、正しい原理と操作方法を理解しておくことが大切でしょう。

それでは、ナノドロップの世界を一緒に見ていきましょう。

ナノドロップとは何か 結論から解説

それではまずナノドロップとは何かという結論について解説していきます。

結論から言うと、ナノドロップとは微量サンプルの吸光度を測定することで、核酸やタンパク質の濃度を高速かつ簡便に定量できる小型の分光光度計です。

一般的な分光光度計がキュベットと呼ばれる専用容器にサンプルを入れて測定するのに対し、ナノドロップはサンプルを直接測定台に滴下するだけで測定が完了します。

この仕組みにより、希少なサンプルであっても無駄なく濃度測定が行えるのです。

ナノドロップの最大の特徴は、わずか1〜2マイクロリットルというごく微量のサンプルで、DNA濃度・RNA濃度・タンパク質濃度を数十秒程度で測定できる点にあります。

希釈操作やキュベットの洗浄が不要なため、実験のスループットを大幅に向上させることが可能です。

ナノドロップの基本的な定義

ナノドロップとは、もともと米国のメーカーが開発した微量分光光度計のブランド名です。

現在では核酸定量の分野において、いわば代名詞的な存在として広く認知されています。

紫外可視分光光度法という技術を基盤としており、光の吸収量からサンプル中の物質濃度を算出する仕組みになっています。

特にDNAやRNAは特定の波長の光を吸収する性質を持っているため、この性質を利用して濃度を推定できるわけです。

分光光度計としての位置づけ

分光光度計は、光がサンプルを通過する際にどれだけ吸収されるかを測定する装置全般を指します。

その中でもナノドロップは、微量サンプル専用に設計された特殊なタイプに分類されるでしょう。

研究室にはさまざまな分光光度計が存在しますが、核酸定量という用途に限れば、ナノドロップは非常に高い利便性を誇ります。

大量のサンプルを保有していない実験でも、気軽に濃度測定を行えるのが魅力です。

従来のキュベット式との違い

従来型のキュベット式分光光度計は、通常100マイクロリットル以上のサンプル量を必要とします。

一方でナノドロップは1〜2マイクロリットルという極めて少ない量で測定が可能です。

この差は、貴重な臨床サンプルや希少な生物試料を扱う研究者にとって非常に大きな意味を持つでしょう。

さらにキュベットの洗浄や交換といった手間も省けるため、測定にかかる時間そのものも短縮されます。

ナノドロップの原理を解説

続いてはナノドロップの原理について確認していきます。

ナノドロップの測定原理は、基本的に紫外可視吸光度測定の理論に基づいています。

光がサンプルを通過する際、物質固有の波長でどれだけ光が吸収されるかを検出し、その吸収量から濃度を算出する仕組みです。

吸光度測定の基本原理(ランベルト・ベールの法則)

吸光度測定の根幹をなすのが、ランベルト・ベールの法則と呼ばれる物理法則です。

この法則は、光の吸収量が物質の濃度と光路長に比例するというものになります。

ランベルト・ベールの法則は次のように表されます。

A(吸光度)=ε(モル吸光係数)× c(濃度)× l(光路長)

たとえば光路長が一定であれば、吸光度Aが大きいほど濃度cも高いと判断できるのです。

ナノドロップは、この光路長を自動的に調整する機構を備えているため、高濃度サンプルであっても希釈せずに測定できる場合が多いです。

光路長を短くすることで、通常なら吸光度が飽和してしまうような高濃度サンプルにも柔軟に対応できるわけですね。

260nm/280nmでの吸光度と核酸濃度の関係

核酸であるDNAやRNAは、波長260ナノメートル付近の紫外光を強く吸収するという性質があります。

この性質を利用し、ナノドロップは260nmにおける吸光度からサンプル中の核酸濃度を計算しています。

一方でタンパク質は280ナノメートル付近の光を吸収しやすい性質を持っているため、280nmの吸光度も併せて測定することで、サンプルの純度を評価できるのです。

波長 主に吸収する物質 用途
230nm付近 フェノールや塩類などの夾雑物 コンタミネーションの確認
260nm DNA・RNAなどの核酸 核酸濃度の算出
280nm タンパク質(芳香族アミノ酸) タンパク質混入の確認

この表からもわかるように、単一の波長だけでなく複数の波長を組み合わせて測定することが、正確な純度評価につながります。

表面張力を利用した微量サンプル測定の仕組み

ナノドロップ最大の特徴とも言えるのが、表面張力を利用した測定方式でしょう。

測定台にサンプルを滴下すると、上部のアームがサンプルに接触し、液体の表面張力によってサンプルが柱状に保持されます。

この状態で光を照射し、透過した光の量を検出することで吸光度を算出しているのです。

キュベットのような容器が不要なため、洗浄の手間もかからず、連続して複数のサンプルを測定できるというメリットがあります。

ナノドロップの使い方

続いてはナノドロップの具体的な使い方について確認していきます。

正しい手順を踏まなければ、せっかくの微量測定というメリットを活かせず、誤差の大きいデータになってしまう恐れがあるでしょう。

測定前の準備(ブランク測定など)

測定を始める前に、まず装置本体と測定台の清掃を行います。

測定台にほこりや前回のサンプルが残っていると、正確な数値が得られません。

次に、サンプルを溶解している溶媒(水やTEバッファーなど)を用いてブランク測定を行います。

ブランク測定とは、溶媒そのものの吸光度をゼロとして基準に設定する作業のことです。

この工程を怠ると、以降のすべての測定値に誤差が乗ってしまうため、非常に重要な準備段階と言えるでしょう。

サンプルの滴下と測定手順

ブランク測定が完了したら、いよいよサンプルの測定に移ります。

マイクロピペットを用いて1〜2マイクロリットルのサンプルを測定台に静かに滴下してください。

その後、上部アームを閉じてサンプルを保持させ、測定ソフトウェア上で測定を開始します。

数秒から数十秒程度で、吸光度スペクトルとともに核酸濃度、純度比などの結果が画面に表示されます。

複数サンプルを測定する場合は、前のサンプルが台に残っていないかを都度確認しながら進めることがポイントです。

測定後のクリーニングとメンテナンス

測定が終わったら、測定台と上部アームを柔らかい拭き取り用の紙やクロスで丁寧に拭き取ります。

サンプルの拭き残しがあると、次の測定に影響を与えるだけでなく、装置自体の劣化にもつながりかねません。

定期的なキャリブレーションも忘れずに実施しましょう。

日々のメンテナンスを怠らないことが、長期的に安定した測定結果を得るための鍵になります。

DNA・RNA濃度測定における活用ポイント

続いてはDNAやRNAの濃度測定における活用ポイントについて確認していきます。

ナノドロップは核酸定量の現場で幅広く使われていますが、DNAとRNAではそれぞれ注意すべき点が異なります。

DNA濃度測定のコツ

DNA濃度を測定する際は、抽出直後のサンプルにエタノールやフェノールなどの残留物が含まれていないかを確認することが大切です。

これらの残留物が混入していると、260nmの吸光度に影響を与え、実際の濃度よりも高い値、または低い値として表示されてしまう可能性があります。

また、二本鎖DNAと一本鎖DNAでは吸光係数が異なるため、測定対象がどちらのタイプであるかを事前に把握しておく必要があるでしょう。

RNA濃度測定時の注意点

RNAはDNAと比較して非常に分解されやすい性質を持っています。

そのため測定前のサンプル保存状態や、ピペット操作時の温度管理にも気を配らなければなりません。

RNase(RNA分解酵素)によるコンタミネーションを防ぐため、専用のチップやチューブを使用することも重要なポイントです。

RNAの純度が低いと、その後のRT-PCRやシーケンス解析の結果にも悪影響が及ぶ可能性があるため、慎重な取り扱いが求められます。

A260/A280比による純度評価

核酸の純度を評価する際によく用いられる指標が、A260/A280という数値です。

A260/A280比の目安は次の通りです。

純粋なDNAの場合はおおよそ1.8前後を示します。

純粋なRNAの場合はおおよそ2.0前後を示します。

この数値が大きく外れている場合、タンパク質や有機溶媒などの混入が疑われます。

ただし、A260/A280比だけで純度をすべて判断できるわけではありません。

あくまで目安の一つとして捉え、必要に応じて電気泳動など他の手法と組み合わせて評価することをおすすめします。

ナノドロップ使用時の注意点とトラブルシューティング

続いてはナノドロップ使用時の注意点とトラブルシューティングについて確認していきます。

便利な装置とはいえ、使い方を誤ると誤った濃度データを出してしまうことがあるため注意が必要です。

測定値がばらつく原因

同じサンプルを複数回測定しているのに、そのたびに違う数値が出てしまうことはありませんか。

その主な原因として、測定台の拭き取り不足、サンプル中の気泡混入、ピペッティングの精度のばらつきなどが挙げられます。

特に微量測定であるがゆえに、わずかな誤差が結果に大きく反映されてしまう点には注意しなければなりません。

コンタミネーションによる誤差

コンタミネーション、つまり夾雑物の混入は、ナノドロップ測定における代表的な誤差要因の一つです。

フェノールやエタノール、塩類などが残留していると、230nm付近の吸光度が上昇し、A260/230比が低下してしまいます。

この数値が極端に低い場合は、サンプルの再精製を検討したほうがよいでしょう。

正確な濃度測定のためには、抽出プロセス自体の見直しも重要になってきます。

気泡や拭き取り不足によるトラブル

測定台にサンプルを滴下した際、気泡が入ってしまうと光路が乱れ、正確な吸光度が得られません。

ピペットの先端をゆっくりと動かしながら、気泡が入らないよう丁寧に滴下することがポイントです。

また、前回のサンプルの拭き残しがあると、新しいサンプルと混ざり合い、誤った測定値につながります。

毎回の測定ごとに、測定台をしっかり拭き取る習慣をつけましょう。

ナノドロップと他の定量法との比較

続いてはナノドロップと他の定量法との比較について確認していきます。

核酸の定量方法はナノドロップだけではなく、蛍光法や電気泳動法など複数の手法が存在します。

蛍光法(Qubitなど)との比較

蛍光法は、核酸に特異的に結合する蛍光色素を用いて濃度を測定する方法です。

代表的な装置としてQubitなどが挙げられます。

蛍光法はナノドロップと比較して、夾雑物の影響を受けにくく、より正確な核酸濃度を得られるという特徴があります。

その反面、専用の試薬キットが必要でコストがかかる点や、測定に手間がかかる点はデメリットと言えるでしょう。

電気泳動による確認との違い

電気泳動は、核酸のサイズや分解度合いを視覚的に確認できる手法です。

ナノドロップが濃度や純度を数値として示すのに対し、電気泳動はバンドの形状からサンプルの品質を目視で評価できます。

両者は測定できる情報が異なるため、目的に応じて使い分けることが望ましいでしょう。

実際の研究現場では、ナノドロップで簡易的に濃度を確認したうえで、電気泳動で品質を裏付けるという流れがよく採用されています。

ナノドロップを選ぶメリットとデメリット

ナノドロップを選ぶ最大のメリットは、やはり測定の速さと簡便さでしょう。

サンプル量がごくわずかで済むうえ、数十秒程度で結果が得られるため、多検体を扱う実験には非常に適しています。

一方でデメリットとしては、夾雑物の影響を受けやすく、蛍光法と比較すると精度がやや劣る点が挙げられます。

ナノドロップはスクリーニングや初期段階の濃度確認に向いている一方、最終的な精密定量にはQubitなどの蛍光法を併用することが推奨されます。

用途に応じて複数の測定法を組み合わせることで、より信頼性の高いデータを得ることができるでしょう。

まとめ

今回は、ナノドロップとは何かという基本的な内容から、原理と使い方を解説してきました。

ナノドロップは、表面張力を利用した独自の測定方式によって、わずかなサンプル量からDNAやRNAの濃度、純度を素早く測定できる分光光度計です。

ランベルト・ベールの法則に基づき、260nmや280nmといった波長の吸光度を測定することで、核酸濃度やタンパク質混入の有無を評価できます。

正しい使い方をマスターすれば、実験のスループットを大きく向上させられるでしょう。

一方で、コンタミネーションや拭き取り不足による誤差が生じやすい点にも注意が必要です。

必要に応じて蛍光法や電気泳動といった他の定量手法と組み合わせることで、より精度の高いデータを得ることができます。

ぜひ本記事を参考に、日々の実験にナノドロップを役立ててみてください。