コンクリートの空気量試験は、フレッシュコンクリートに含まれる空気の割合を確認し、耐久性や施工性を安定させるための重要な品質管理です。
空気量が不足すると凍結融解に対する抵抗性が低下しやすく、反対に多すぎる場合は圧縮強度への影響が懸念されます。
現場で慌てず測定するには、エアメータの構造、試料の詰め方、加圧後の読み取り方を一連の手順として理解することが大切です。
この記事では、代表的な空気室圧力方法を中心に、器具の名称、試験の流れ、JIS規格の考え方、記録時の注意点まで詳しく紹介します。
コンクリート空気量試験の基本結論

それではまずコンクリート空気量試験の基本結論について解説していきます。
空気量試験で確認する品質
空気量試験とは、まだ硬化していないコンクリートに含まれる空気の容積割合を測定する試験です。
ここでいう空気には、練混ぜ時に自然に入り込む空気だけでなく、AE剤によって意図的に連行された微細な空気泡も含まれます。
特に寒冷地や凍結融解の影響を受ける部位では、適切な空気量の管理が耐久性に直結します。
微細な気泡がコンクリート内部に適度に分散すると、凍結時に生じる水の膨張圧を逃がしやすくなるためです。
空気量試験は、見た目では判断できない耐久性の土台を数値で確かめる検査と考えると理解しやすいでしょう。
一方で、空気量を増やせばよいわけではありません。
空気が増えすぎると、コンクリートの実質的な断面に占めるセメントペーストや骨材の割合が変わり、強度低下につながる場合があります。
代表的な試験方法の区分
コンクリートの空気量を調べる方法には、空気室圧力方法、容積方法、質量方法などがあります。
一般的な普通コンクリートでは、エアメータを使用する空気室圧力方法が広く採用されています。
この方法は、容器内に入れたコンクリートへ圧力を加え、空気の圧縮性を利用して空気量を求める仕組みです。
骨材中に含まれる空隙の影響を補正する必要があるものの、現場で比較的短時間に測定できる点が大きな特長です。
| 試験方法 | 主な対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| 空気室圧力方法 | 普通骨材を用いたコンクリート | 圧力差を利用して迅速に測定 |
| 容積方法 | 軽量骨材コンクリートなど | 水の置換量を利用して測定 |
| 質量方法 | 配合条件が明確な場合 | 単位容積質量との差から算出 |
どの方法を選ぶかは、使用骨材、発注仕様書、適用するJIS規格、施工管理の基準によって決まります。
試験前には、対象のコンクリートに空気室圧力方法が適用できるかを確認しておくことが欠かせません。
管理値と合否判断の考え方
空気量の目標値は、コンクリートの種類や施工条件によって異なります。
たとえばAEコンクリートでは、設計図書や配合計画書に基準空気量と許容差が示されることが一般的です。
現場で得られた測定値だけを見て即座に良否を決めるのではなく、荷卸し時刻、練混ぜからの経過時間、スランプ、コンクリート温度もあわせて評価します。
運搬や待機の時間が長くなると、気泡の状態が変わり、空気量が変動することがあります。
空気量の判定では、配合計画書に記載された目標値と許容範囲を最優先します。
現場独自の経験則だけで判断せず、試験記録と仕様書を照合する姿勢が重要です。
空気室圧力方法の仕組み
続いては空気室圧力方法の仕組みを確認していきます。
エアメータ内部の圧力変化
空気室圧力方法では、容器に詰めたコンクリートの上部に一定の空気室をつくります。
空気室へあらかじめ定めた圧力を加えた後、コンクリート容器側と連通させると、空気室の空気とコンクリート中の空気が圧力差によって変化します。
コンクリートの構成材料のうち、水や骨材はほとんど圧縮されませんが、空気は圧縮されます。
この性質の差を利用し、圧力変化を目盛りに換算することで空気量を読み取ります。
測定値は空気の圧縮性を利用した間接的な値であるため、正しい初圧と密閉状態が測定精度を左右します。
骨材修正係数の意味
普通骨材にも、水が入り込む微細な空隙が存在する場合があります。
この空隙の空気や水の影響が測定値に含まれると、コンクリート中の実際の空気量を正確に評価できません。
そこで、使用する骨材の影響を事前に求めた骨材修正係数で補正します。
骨材修正係数は、骨材の種類や粒度、含水状態などによって変わるため、条件が変わった際には確認が必要です。
補正後の空気量は、エアメータの読みから骨材修正係数を差し引いて求めます。
空気量 = 指示値 − 骨材修正係数
実務では、エアメータの指示値をそのまま試験結果として記録せず、補正後の値を報告する運用が基本となります。
補正係数の記録漏れは、後から品質を追跡する際の大きな問題になりやすいため注意しましょう。
適用時に注意したい骨材条件
空気室圧力方法は、主に普通骨材を用いるコンクリートに適した方法です。
吸水性が大きい軽量骨材を使用する場合、骨材内部の空隙が測定へ与える影響が大きくなり、圧力方法では適切に評価できないことがあります。
このような場合には、容積方法など別の試験方法を選択する必要があります。
試験器具を用意する前に、骨材の種類と適用試験法を確認することが、測定ミスを防ぐ最初のポイントです。
エアメータと測定器具の構成
続いてはエアメータと測定器具の構成を確認していきます。
エアメータ本体の各部名称
エアメータは、コンクリートを入れる容器、圧力室を備えたふた、圧力計、給水バルブ、排気バルブ、操作弁などで構成されます。
容器は一定の容積を持ち、ふたを固定すると内部を気密状態にできる構造です。
圧力計には初圧を合わせる基準線と、空気量を読み取る目盛りが設けられています。
機種によって細かな操作順は異なるため、使用前にメーカーの取扱説明書と現場の試験要領を照合してください。
| 器具 | 用途 | 確認事項 |
|---|---|---|
| エアメータ | 空気量の測定 | ふたの密閉性と圧力計の状態 |
| 突き棒 | コンクリートの締固め | 曲がりや先端の摩耗 |
| 木づち | 容器側面の軽打 | 均一な締固め |
| 直定規 | 上面のならし | 容器上端との整合 |
| スコップ | 試料の採取と投入 | 異物や乾いた付着物 |
| 洗浄用具 | 試験後の清掃 | バルブ周辺の残留物 |
締固め器具の役割
試料を容器へ入れるときは、所定の層数に分け、各層を突き棒や振動によって均一に締め固めます。
締固めが不足すると、試験者の作業によって余分な空気が残り、測定値が高く出るおそれがあります。
逆に過度な振動を加えると、コンクリート中の気泡が消失し、実際の状態と異なる値になる可能性があります。
締固めは空気を無理に抜く作業ではなく、試料を代表的な状態に整える作業です。
試験者ごとの差を抑えるため、層数、突き回数、側面をたたく回数を試験要領に沿って統一します。
試料採取時の準備
空気量試験の精度は、エアメータを操作する前の試料採取から始まっています。
コンクリート運搬車から採取する場合は、最初や最後だけの排出分に偏らないようにし、複数箇所から採取して均一に混ぜます。
採取後に長時間放置すると、空気量、スランプ、温度が変化しやすくなります。
必要な器具をあらかじめ洗浄し、試験場所を平らに整え、採取から測定までを速やかに進める段取りが大切でしょう。
エアメータのふたやパッキンにコンクリートが付着すると、わずかな隙間から空気が漏れる場合があります。
締結前に接触面を確認し、汚れを取り除くことが再現性の確保につながります。
空気量試験の手順
続いては空気量試験の手順を確認していきます。
試料の投入と締固め
まず、採取して均一にしたフレッシュコンクリートをエアメータの容器へ投入します。
一般には容器を数層に分けて満たし、各層ごとに所定回数の突き締めを行います。
突き棒は下層へ過度に深く突き入れず、各層に均等に行き渡るように操作します。
突き締め後は、木づちで容器側面を軽くたたき、突き棒によって生じた穴をならします。
最終層は容器上端より少し高く盛り、直定規で余分なコンクリートをかき取って平らに仕上げます。
容器上面を平滑にすることは、ふたの密閉と容積の一定化のために必要です。
ふたの装着と水の充填
次に、容器の縁とふたのパッキン部を清掃し、ふたを正しく載せてクランプを均等に締めます。
給水バルブを開き、水を注入して空気室内の不要な空気を追い出します。
もう一方のバルブから水が連続して出る状態になれば、内部の空気がほぼ抜けた目安となります。
このとき、水に気泡が混じっている場合は、内部に空気が残っている可能性があります。
バルブ周辺を軽くたたくなどして気泡を抜き、再度水の状態を確認してください。
初圧設定と空気量の読み取り
水を充填した後は、すべてのバルブを閉じ、ポンプで圧力計の初圧線まで加圧します。
初圧を一度でぴったり合わせられない場合でも、急激に操作せず、圧力の安定を確認しながら調整します。
初圧を設定したら操作弁を開き、空気室と容器側を連通させます。
圧力計の指針が安定した位置を読み取り、必要に応じて骨材修正係数を差し引きます。
測定結果の記録例です。
圧力計の指示値が四点八パーセントで、骨材修正係数が〇点二パーセントの場合、報告する空気量は四点六パーセントとなります。
測定後は、ふたの接続部を確認するための圧力漏れ点検も行います。
短時間で指針が大きく動く場合は、ふたの締結不足、バルブの閉め忘れ、パッキンの損傷などを疑う必要があります。
JIS規格と測定精度の管理
続いてはJIS規格と測定精度の管理を確認していきます。
JIS A 1128の位置付け
JIS A 1128は、フレッシュコンクリートの空気量試験方法のうち、空気室圧力方法を扱う規格です。
試験器の構造、試料の詰め方、加圧操作、骨材修正係数、結果の表し方など、測定の再現性を保つための基本事項が整理されています。
現場では規格名だけを覚えるのではなく、発注者の仕様書、施工計画書、品質管理基準に定められた適用条件も確認することが重要です。
JISは測定操作をそろえるための共通ルールであり、現場の品質目標そのものを決める文書とは限りません。
JIS A 1116との違い
JIS A 1116は、フレッシュコンクリートの単位容積質量および空気量を質量方法で求める試験方法に関する規格です。
あらかじめ求めた理論上の単位容積質量と、実際に測定した単位容積質量との差を利用して空気量を算出します。
空気室圧力方法とは原理が異なるため、同じ空気量試験でも使用器具や管理上の注意点が変わります。
| 規格 | 主な内容 | 測定の考え方 |
|---|---|---|
| JIS A 1128 | 空気室圧力方法 | 空気の圧縮による圧力変化 |
| JIS A 1116 | 質量方法 | 単位容積質量の差 |
規格を取り違えると、必要な補正や記録項目を見落とすおそれがあります。
試験計画書には、採用する規格と対象コンクリートを明確に記載するとよいでしょう。
校正と日常点検
エアメータは精密な圧力計測器具であるため、使用前の点検と定期的な校正が欠かせません。
圧力計の指針が初圧線へ正しく合うか、操作弁が円滑に動くか、ふたのパッキンに劣化がないかを確認します。
また、容器の変形、クランプのゆるみ、バルブの詰まりも測定値のばらつきにつながります。
試験器の管理状態は、試験者の技能と同じくらい結果へ影響する要素です。
異常な測定値が出たときは、すぐに配合不良と決めつけないことが大切です。
試料採取、締固め、密閉、初圧、骨材修正係数、器具の漏れを順番に確認すると原因を整理しやすくなります。
試験結果の記録と現場対応
続いては試験結果の記録と現場対応を確認していきます。
記録票に残す項目
空気量の数値だけでは、後日の品質確認に必要な情報が不足します。
試験日、試験時刻、工事名、打設場所、コンクリートの種類、配合、運搬車番号、試料採取位置、試験者名を記録します。
あわせて、スランプまたはスランプフロー、コンクリート温度、外気温、荷卸しからの経過時間も残しておくと、数値変動の背景を検討しやすくなります。
骨材修正係数、エアメータの指示値、補正後の空気量を区別して記載することも重要です。
基準外だった場合の確認順序
測定値が許容範囲から外れた場合は、まず試験操作の妥当性を確認します。
再試験を行う際には、同じ試料だけに頼らず、採取方法や試料の均一性も見直します。
それでも基準外の結果が続くときは、生コン工場、施工管理者、監理者など定められた連絡先へ速やかに報告します。
現場判断で無断の加水や混和剤追加を行うと、品質責任の所在が不明確になりかねません。
基準外への対応は、再試験、記録、関係者への報告、指示に基づく処置という順序で進めます。
試験結果と対応時刻を残しておくと、後からの説明や品質追跡に役立ちます。
ばらつきを減らす実務上の工夫
空気量のばらつきを抑えるには、試験者ごとの操作差を小さくすることが有効です。
突き締め回数、側面をたたく回数、水を満たす手順、初圧の合わせ方を作業標準として共有します。
試験器具は使用後すぐに洗浄し、特にバルブやパッキンの周辺にモルタルが残らないようにします。
同じ条件で何度測っても近い値が得られる状態こそ、品質管理で目指す測定精度です。
新人への教育では、数値の読み方だけでなく、なぜ空気漏れや締固め不足が誤差になるのかを伝えると、作業の質が安定します。
コンクリート空気量試験のまとめ
コンクリート空気量試験は、フレッシュコンクリートの耐久性と施工品質を支える基本試験です。
普通骨材を使用する一般的なコンクリートでは、JIS A 1128に基づく空気室圧力方法が代表的な選択肢となります。
試料を均一に採取し、所定の方法で締め固め、エアメータを確実に密閉し、初圧と指針を正しく読むことが測定の要点です。
さらに、骨材修正係数を適切に反映し、JIS A 1116の質量方法などとの違いを理解しておくと、現場条件に応じた判断がしやすくなります。
正しい手順、整備された測定器具、詳細な記録の三つをそろえることで、空気量試験は信頼できる品質管理データになります。
打設前の短い試験時間を丁寧に使い、コンクリート構造物を長く健全に保つための管理につなげていきましょう。