コンクリートの曲げ強度試験とは?試験方法と測定結果の見方を解説!
コンクリートは圧縮される力には強い一方で、曲げられたときに生じる引張力には比較的弱い材料です。
道路舗装、床版、プレキャスト製品などでは曲げに対する性能が重要となるため、施工品質や配合の妥当性を確認する試験が欠かせません。
この記事では、コンクリートの曲げ強度試験の目的、供試体の作り方、載荷方法、測定結果の読み方までを順に説明します。
コンクリートの曲げ強度試験の意味

それではまずコンクリートの曲げ強度試験について解説していきます。
曲げ強度が示すコンクリートの性能
曲げ強度試験とは、角柱状のコンクリート供試体に荷重をかけ、破壊に至るまでの抵抗力を測定する試験です。
試験で得られる値は曲げ強度または曲げ引張強度と呼ばれ、部材が曲がった際に下面側へ発生する引張応力に耐える能力を表します。
コンクリートは圧縮強度で評価されることが多いものの、曲げを受ける舗装コンクリートでは曲げ強度が直接的な管理指標となります。
たとえば車両荷重を繰り返し受ける道路舗装では、表面から見えないひび割れが下側から進行する場合があります。
曲げ強度を確認すると、ひび割れに対する基本的な抵抗性を把握しやすくなるでしょう。
圧縮強度試験との違い
圧縮強度試験では円柱供試体を圧縮し、押しつぶされるまでの最大荷重を測定します。
これに対して曲げ強度試験では、角柱供試体を支持点に載せ、中央または三等分点に荷重を与えます。
圧縮試験は建築物の柱、梁、基礎などで用いるコンクリートの品質確認に広く活用されます。
一方で曲げ試験は、舗装版、側溝、境界ブロック、コンクリート製品など、曲げ応力が問題になりやすい用途で重要です。
両者の数値は単純に置き換えられません。
配合、骨材、養生条件が同じでも、曲げ強度と圧縮強度の関係にはばらつきが生じるため、設計図書や発注者の品質基準に指定された試験項目を選ぶ必要があります。
試験が実施される主な場面
曲げ強度試験は、施工現場で打ち込んだコンクリートの品質確認、工場製品の出荷判定、配合設計の検討などで実施されます。
道路工事では、所定の材齢で必要な曲げ強度に達しているかを確認し、交通開放や工程管理の判断材料とするケースがあります。
また、フライアッシュや高炉スラグ微粉末などを使用した配合では、初期材齢と長期材齢の強度発現を比較することもあります。
曲げ強度試験の目的は、単に数値を記録することではありません。
供試体の作製、養生、試験機の状態を含めて確認し、実際のコンクリートが要求性能を満たしているかを判断することが重要です。
供試体の作製と養生条件
続いては供試体の作製と養生条件を確認していきます。
角柱供試体の寸法と採取方法
曲げ強度試験では、一般に角柱形の供試体を用います。
代表的な寸法は断面が150ミリメートル角、長さが530ミリメートル程度ですが、骨材最大寸法や適用規格によって異なる場合があります。
供試体は現場で採取したフレッシュコンクリートを型枠へ詰めて作製します。
採取時には、コンクリートが分離していないこと、運搬によって性状が大きく変化していないことを確認します。
試料が代表性を失うと、試験値だけを正確に測定しても現場品質の評価につながりにくくなります。
試験の信頼性は載荷時だけでなく、試料採取の時点から始まっています。
締固めと表面仕上げの注意点
型枠にコンクリートを詰める際は、規定された層数に分けて締め固めます。
締固め不足があると内部に空隙が残り、局所的に弱い部分が生じるおそれがあります。
反対に過度な振動を与えると、モルタルと粗骨材が分離する可能性もあるため注意が必要です。
上面は金ごてなどで平らに仕上げますが、過度に水を浮かせる仕上げは避けたほうがよいでしょう。
供試体の角部が欠けたり、表面に大きな凹凸が残ったりすると、支持や載荷の状態に影響を及ぼすことがあります。
供試体作製時の基本的な確認例です。
採取したコンクリートを十分に混合し、型枠へ均等に投入します。
規定の方法で締め固めた後、上面を平滑に仕上げ、供試体番号、採取日時、打設箇所を取り違えないよう記録します。
標準養生と現場養生の考え方
供試体は脱型まで乾燥や振動を避け、適切な温度条件で保管します。
その後は標準養生として、水中または高湿度の環境で所定材齢まで養生する方法が一般的です。
標準養生供試体は、配合そのものが持つ強度発現の傾向を比較するために役立ちます。
一方、現場養生供試体は、実際の構造物や舗装版に近い温度、湿潤状態の影響を受けます。
寒冷期の施工、暑中コンクリート、大断面部材のように温度履歴が変わりやすい場合には、両者の結果を区別して読むことが大切です。
養生条件が異なれば、同じ配合でも曲げ強度の発現時期は変化します。
曲げ強度試験の方法と載荷方式
続いては曲げ強度試験の方法と載荷方式を確認していきます。
二等分点載荷と三等分点載荷
曲げ試験には、供試体の中央へ一つの荷重を与える方法だけでなく、二つの載荷点を用いる方法があります。
代表的な載荷方式として、中央一点に荷重をかける二等分点載荷と、支点間を三等分する位置に二点載荷する三等分点載荷があります。
三等分点載荷では、二つの載荷点の間に曲げモーメントが一定となる区間が生まれます。
そのため、供試体中央部の材料特性を評価しやすい特徴があります。
採用する方式は、適用するJIS規格、試験要領、発注仕様書に従って統一します。
| 載荷方式 | 荷重をかける位置 | 特徴 |
|---|---|---|
| 二等分点載荷 | 支点間中央の一点 | 装置構成が比較的簡潔で、中央部の最大曲げ応力を評価します。 |
| 三等分点載荷 | 支点間を三等分する二点 | 中央三分の一に一定曲げモーメント区間が生じ、舗装コンクリートで用いられることがあります。 |
| 四点曲げ載荷 | 二つの支点と二つの載荷点 | 試験条件によっては三等分点載荷と同様の考え方で評価されます。 |
試験機への設置と荷重の加え方
供試体は試験機の支持ローラー上に安定して設置します。
支点と載荷点の位置がずれると、計算上のスパンと実際の応力状態が一致しにくくなるため、寸法確認が必要です。
供試体の側面に泥、砂粒、突出物が付着している場合は、試験前に除去します。
荷重は急激に与えず、規定された速度で連続的かつ滑らかに増加させます。
載荷途中で試験機が停止したり、衝撃的な荷重が加わったりすると、最大荷重の信頼性を損なうおそれがあります。
荷重速度の管理は、供試体の破壊荷重を適切に評価するための重要な条件です。
破壊状況の観察と記録
試験中は最大荷重だけでなく、ひび割れの位置、進展方向、破壊面の状態も確認します。
理想的には、曲げによる引張側からひび割れが発生し、供試体中央付近で破壊が進みます。
支点近くで破壊した場合や、載荷点直下で局所的な破砕が生じた場合は、試験結果の取り扱いに注意が必要です。
破壊位置が規定範囲から外れると、通常の算定式をそのまま使えない場合があります。
最大荷重だけを見て合否を決めるのではなく、破壊位置と破壊形状を記録してください。
異常な破壊は、供試体の欠陥、載荷位置のずれ、支持条件の不良を示す手掛かりになります。
曲げ強度の計算と測定結果の見方
続いては曲げ強度の計算と測定結果の見方を確認していきます。
三等分点載荷における算定式
三等分点載荷で供試体が中央三分の一の範囲で破壊した場合、曲げ強度は最大荷重、支点間距離、供試体断面寸法から求めます。
代表的な算定の考え方は次のとおりです。
曲げ強度は 最大荷重に支点間距離を掛けた値を、供試体幅と高さの二乗を掛けた値で割り、係数を加味して求めます。
単位は一般にニュートン毎平方ミリメートルで表し、メガパスカルとして扱います。
実際の計算では、適用規格に定められた式と単位系を必ず確認します。
供試体の幅や高さは公称寸法ではなく、試験後に測定した実寸法を用いることが求められる場合があります。
断面寸法は高さの二乗で計算に関わるため、小さな測定誤差でも結果へ影響しやすい部分です。
破壊位置が中央から外れた場合
破壊が中央三分の一の外側で発生した場合には、破壊断面までの距離を用いた補正式を適用することがあります。
ただし、支点に極端に近い位置で破壊した供試体は、曲げ強度として適切に評価できない可能性があります。
このような結果を採用するかどうかは、規格や試験要領の条件に従って判断します。
現場で独自に計算式を選ぶと、検査記録の整合性が失われるおそれがあります。
試験成績書には、供試体番号、材齢、最大荷重、寸法、破壊位置、算定値を一貫した形式で残すことが大切です。
平均値とばらつきの評価
曲げ強度は通常、複数本の供試体を試験して評価します。
一本だけの結果では、材料の不均一性、締固めの差、供試体の偶発的な欠陥による影響を見分けにくいためです。
平均値が基準を上回っていても、個々の値に大きな差がある場合には、施工や試験操作を見直す必要があります。
| 確認項目 | 見るべき内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 平均曲げ強度 | 複数供試体の代表的な強度 | 配合設計値や品質基準との比較に用います。 |
| 最低値 | 最も低い供試体の結果 | 局所的な施工不良や供試体不良の発見につながります。 |
| ばらつき | 各試験値の差の大きさ | 採取、締固め、養生、試験条件を再確認します。 |
| 材齢 | 試験実施時の経過日数 | 基準材齢とのずれがないか確認します。 |
平均値だけで安心せず、最低値とばらつきを同時に見る姿勢が品質管理では重要です。
試験値に影響する要因と品質管理
続いては試験値に影響する要因と品質管理を確認していきます。
配合と材料の影響
曲げ強度には、水セメント比、セメントの種類、単位水量、粗骨材の品質、空気量など、多くの要因が関係します。
水セメント比が大きくなると、硬化後のセメントペーストが密実になりにくく、強度低下につながることがあります。
粗骨材の最大寸法や形状、表面性状も、ひび割れの進展や骨材とモルタルの付着に影響します。
混和剤を使用する場合には、所定のスランプや空気量を確保しながら、要求曲げ強度を満たす配合とすることが必要です。
フレッシュコンクリートの性状管理と硬化コンクリートの強度管理はつながっています。
温度と養生環境の影響
コンクリートの強度発現は温度の影響を強く受けます。
低温環境では水和反応が緩やかになり、所定材齢での曲げ強度が伸びにくい場合があります。
高温環境では初期強度が出やすい一方、急激な乾燥や温度ひび割れへの配慮が必要です。
特に供試体を屋外へ放置すると、日射、雨、風、夜間の温度低下などの影響を受け、養生条件が不安定になりがちです。
標準養生の供試体は、温度と湿潤状態を管理できる場所で保管しましょう。
寒冷期に曲げ強度が基準へ届かない場合は、単純に配合不良と決めつけないことが大切です。
打込み時のコンクリート温度、養生開始までの時間、供試体保管場所、試験材齢を照合すると、原因を整理しやすくなります。
不適合値が出た場合の確認手順
測定結果が管理基準を下回った場合には、まず試験記録を確認します。
供試体の取り違え、養生不良、寸法測定の誤り、試験機の校正状態、載荷速度など、測定プロセスに問題がなかったかを点検します。
次に、同じロットのスランプ、空気量、コンクリート温度、荷卸し時刻、打込み場所などの施工記録を照らし合わせます。
必要に応じて、追加供試体、コア供試体、非破壊試験などを組み合わせ、構造物そのものの品質を総合的に評価します。
不適合値が出たときは、試験値のみで構造物の安全性を即断しないことが重要です。
設計者、施工者、監理者の確認のもとで、規格、施工記録、追加調査を踏まえた適切な対応を進めます。
曲げ強度試験のまとめ
コンクリートの曲げ強度試験は、曲げによって生じる引張応力への抵抗性を確認するための重要な試験です。
道路舗装やコンクリート製品では、圧縮強度だけでは把握しにくい性能を評価する役割を持ちます。
正確な結果を得るには、代表性のある試料採取、適切な締固め、規定どおりの養生、試験機への正しい設置が必要です。
また、最大荷重から曲げ強度を計算する際には、供試体寸法、支点間距離、破壊位置を正しく記録しなければなりません。
測定結果は平均値、最低値、ばらつき、破壊状況をあわせて確認することが品質管理の基本です。
適用するJIS規格や工事仕様書を確認し、試験条件を統一したうえで、コンクリートの品質を適切に評価していきましょう。